南方医科大学南方病院は9日、新型コロナウイルス感染症の流行期間、中国の新型コロナウイルス感染の累積受療率を把握するため、同病院の国家腎臓病臨床医学研究センターがマカオ、香港、湖北省、四川省、重慶市、広東省などの各地の研究・医療機関と協力し、血清に含まれる新型コロナウイルス特異抗体の水準の検査を通じ、各地及び各集団の新型コロナウイルスに曝露した人々の感染率を評価したと発表した。
この研究は、湖北省、四川省、重慶市、広東省などの計1万7368人の血清に含まれる、新型コロナウイルス特異抗体「IgG」「IgM」の陽性率を調べた。調査期間は今年3月9日から4月10日まで。分析結果によると、武漢市の血清抗体陽性率は3.8%で、圧倒的多数の抗体陽性者に臨床症状が見られなかった。
武漢市から遠い地域ほど累積感染率が低い。感染症の流行中に病院を訪問した人(外来や血液透析患者など)、もしくは院内の職員の累積血清陽性率は2.5%で、一般コミュニティ住民の0.8%を大きく上回った。
この研究は、新型コロナウイルスは新しい感染力の強い病原性ウイルスであると指摘した。人がこのウイルスに接触すると、臨床症状の有無に関わらず免疫系が反応を示し、ウイルスの特異抗体を生み出すという。
研究によると、ウイルス曝露から3−5日内の血清からこの抗体を検出できる。抗体は28日以上生存する。そのため血清の新型コロナウイルス特異抗体を調べることで、被験者が最近新型コロナウイルスに接触もしくは感染したかを反映し、より正確に新型コロナウイルスの累積感染率及び流行の程度を評価できるようになる。
新型コロナウイルスの血清抗体が陽性であっても、被験者が現在感染しているとは限らないことに注意が必要だ。検出された抗体に保護力があるかについても現時点では不明だ。
この研究は5日、国際的に権威ある学術誌『ネイチャー・メディシン』(電子版)に掲載された。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2020年6月10日