全国人民代表大会(全人代)常務委員会は6月30日、「中華人民共和国香港特別行政区国家安全維持法」を可決するとともに、これを香港基本法付属文書三に盛り込んだ。香港特別行政区がこれを現地で公布・施行した。国家の安全の面における香港地区の長年の「無防備」状態が変えられるとともに、香港地区の長期的な繁栄と安定を保障する「防波堤」が築かれつつある。(文:人民日報論説員)
昨年6月の香港地区の「条例改正騒動」以来、「香港独立」分子、過激な分離勢力、そして反対派の活動が香港地区の法治を深刻に踏みにじり、社会的安定を破壊し、香港地区の経済に大きな痛手を与え、香港地区のビジネス環境と国際的イメージを損ない、香港地区に対する外国人投資家の信頼に影響を与えてきた。世界的に権威ある機関は続けざまに香港地区の信用格付けを引き下げ、香港地区は25年間保ってきた世界で最も自由なエコノミーとしての地位を失い、世界の金融センターとしてのランキングも6位に下落した。香港地区の経済は今年第1四半期に8.9%と大幅に縮小した。これは記録が残る中で四半期として最大の縮小幅だ。3月から5月の失業率は過去15年間で最悪の5.9%に上昇した。これはまさに香港地区が現在直面している厳しい現実だ。
国家の安全を維持することは香港地区の繁栄と安定の基礎であり前提条件だ。過去1年あまりの香港地区情勢の変化は、国家の安全が維持されなければ、繁栄と安定など語りようがないことを十分に示している。国家の安全の維持における法的空白によって、すでに香港社会は痛ましい代償を支払ったという事実を、我々は直視しなければならない。速やかにこの法的空白を埋め、有効な措置を講じて暴力と混乱を阻止し、香港地区の良好な法治環境とビジネス環境を回復することは、香港社会の各階層、各界、及び外国人投資家の共通利益にかない、国際金融・貿易・海運センターとしての香港地区の地位を保つための重要な条件でもある。
国家の安全の基盤が堅固で、社会の大局が安定していて初めて、経済や民生などの深いレベルの矛盾や問題を解決するための良好な環境を築き、より大きな空間を勝ち取ることができる。香港地区が国家の安全の維持において厳しい情勢に直面し、かつ関係する法律を自ら制定することができない中、中央政府が果断な措置を講じ、国家のレベルから香港地区における国家の安全を維持する法制度と執行メカニズムを確立し、整備する。これは国家安全上のリスクを有効に防止・抑制するための喫緊の課題であり、香港地区の長期的な繁栄と安定を確保するための根本的対策でもある。国家の安全の維持における香港地区の法的空白と制度的欠陥を補い、香港地区の長期的な繁栄と安定における主要な潜在的リスクを取り除いて初めて、香港地区は混乱に終止符を打ち、正常な軌道へ戻る転機を迎えられると言える。
「中華人民共和国香港特別行政区国家安全維持法」の施行に伴い、国家の安全の譲れぬ一線が一層はっきりし、是非の基準が一層明確になり、人為的に引き起こされた対立による無駄な消耗が減少し、全社会が身軽に前進し、発展に焦点を合わせることができるだろう。香港市民にとっては、平穏な生活を送り、『黒衣の暴徒』に脅されない自由を得られる。安心して店を開け、経営できる自由を得られる。正常な通勤や通学をし、邪魔されない自由を得られる。香港社会にとっては、安定した環境を得られ、住宅など深いレベルの経済的・社会的矛盾を解決する望みが得られる。社会的動揺が終息し、市場への自信が強まり、各業界がより良く発展できる希望が得られる。香港地区は正常な軌道に戻り、社会は守るべき一線を共有し、「一国二制度」の優位性をさらに発揮できる希望が得られる。(編集NA)
「人民網日本語版」2020年7月2日