中米関係の正常化以来、経済貿易関係は一貫して中米関係の「バラスト」及び「スクリュー」と称されてきた。しかし2018年にトランプ米政権が対中貿易戦を仕掛けて以降、両国の正常な経済貿易関係は大きく破壊された。新型コロナウイルス感染が拡大し始めると、米側はさらにいわゆる「米中分離」を推し進め、中国経済・社会の正常な発展を抑えつけ続けてきた。こうした中、かつて中米関係の「バラスト」と称された経済貿易関係は現在もなおプラスの作用を発揮できるのだろうか?または、どれほどの作用を発揮できるのだろうか?(文:余淼傑・北京大学国家発展研究院教授。環球時報掲載)
実際には中国は中米貿易協議の第1段階合意締結後、米国からの輸入の自主的拡大を含む全ての合意事項を積極的に自ら履行してきた。合意に従い中国は米国からの輸入を2017年を基礎に2年間で2000億ドル拡大する。具体的には、今年777億ドル拡大し、来年1223億ドル拡大する。これらには農産物、エネルギー、製造品、サービスが含まれる。周知のように、合意締結からほどなくして世界で新型コロナウイルスの感染が発生した。中国側は実は不可抗力を理由に米国からの輸入を停止することもできたが、そうはしなかった。約束を順守し、各合意措置の実行推進に力を尽くし、開放拡大という誠意をしっかりと示した。これは米当局の反中人物達の口をある程度塞ぎ、中米関係の悪化に一定のブレーキをかける作用も果たした。
さらに重要なのは、今年中国は引き続き対外開放を拡大し、深めているということだ。特に銀行、保険、証券市場、信用格付けなど金融サービスで外資の参入を拡大し、原産地規定など地理的表示、知的財産権の保護などの分野で米欧各国との協力を強化し、海南自由貿易港の設立等各方面で包括的開放の新構造の構築をしっかりと推し進めてきた。開放拡大によって米欧企業は中国の巨大な国内市場の活力をより直接的に実感。中国は米欧企業にとって最大の利益を得られる海外市場となった。昨年iPhoneの中国での出荷台数は3200万台を超え、App Storeのアプリ商品の中国での市場規模は2460億ドルと世界全体の47%を占めた。中国の巨大な国内市場の規模と可能性がうかがえる。
また、中米関係における最も基本的な要素である経済貿易分野の共通利益は、他の分野と比べて一層明らかだ。特に米国のビジネス界にとって、中米関係の悪化は望まず、また受け入れられないものだ。米中ビジネス協議会(USCBC)が先日発表した2020年度の中国ビジネス環境報告の結論は、米中の経済貿易関係は新型コロナウイルスと政治的要因の下でも依然期待できるというものであり、中国市場への「長期的自信」から、回答した米国企業の87%が中国から生産ラインを移転する考えを否定した。報告はまた、「安定した建設的な米中関係への回帰は、USCBCと参加企業にとって極めて重要だ」と指摘した。このことから、経済貿易協力の正常化を確保することが、米国の商工業の根本的利益にかなうということが分かる。
この観点から言って、中米の経済貿易協力は依然として中米関係の紐帯であるだけでなく、暗闇の中にある現在の中米関係にとって明るい灯でもあると言える。(編集NA)
「人民網日本語版」2020年8月17日