第14次五カ年計画(2021−25年)の初年度、中国の脱貧困攻略戦は全面的な勝利を収め、かつ全面的な農村振興戦略の実施の新たな旅路に向かっている。
脱貧困の成果の定着・拡大を農村振興と効果的に結びつける上で鍵となるのは産業発展だ。今年に入り、産業による貧困扶助や産業振興に関する一連の重大シグナルが集中的に打ち出されている。「経済参考報」の調べによると、中央部・委員会から地方や企業に至るまで、脱貧困産業の高度化の促進や農村の全面的な産業振興の実現など一連のアップグレード版の措置が集中的に実行される。
産業による貧困扶助、大きな増収のボーナスを引き出す
秦巴山地の山奥に位置する鄖西はかつて、全国集中連片特別貧困地区の貧困県だった。過疎地の下営村はかつて貧困県内の重点貧困村だった。村人はタオバオでネットショップを開き十堰ターコイズを販売するという新たな活路を見いだした。下営村は2014年に湖北省初のタオバオ村になり、2017年には率先して村全体の脱貧困を実現した。下営村の村人の平均年収は2019年に2万元にのぼった。タオバオ村の名声を借り、村は農村観光などその他の産業も手がけた。
消費による貧困扶助は貧困地域の財布を分厚くするが、産業による貧困扶助は貧困地区の経済発展に尽きることなき原動力を注ぐ。
湖南省懐化市靖州ミャオ族トン族自治県は「中国のヤマモモの里」だ。ところが「昔は玄関先や路傍で販売するしかなかった。安く、果物農家の所得も低かった」という。響水村の村人である張志兵さんは登録済み貧困世帯だった。
張さんが中心になり、2016年に村でヤマモモ栽培専業合作社を作った。村の山地の請負によりヤマモモの苗木の栽培、エコロジーな収穫、コールドチェーン配送などを行った。張さんの一家は2017年に貧困から脱却した。貧困世帯出資合作社の配当金及び貧困者の生産参加による労働報酬の形式により、2019年には約50人の貧困者が安定的に所得を増やした。現在、全県のヤマモモ拠点は10万ムーまで発展している。ヤマモモ加工企業の昨年の生産高は10億元を突破。第三次産業の融合発展による生産高は2億元超で、全産業チェーンの生産高は約15億元。
貴州省畢節市威寧イ族回族ミャオ族自治県の海坪村は、荒れ果てた山を果樹園にした。谷底から山腹までの土地を使い、繁栄する産業の育成を開始した。1世帯平均3ムーの経済的果樹園が多くの貧困世帯の脱貧困及び富の創出の経済的支柱になった。以前は労働者の6割が出稼ぎしていたが、今や実家に戻り発展する村人が増えている。
中国人民大学農業・農村発展学院の鄭風田副院長は記者に、「産業による貧困扶助は中国の脱貧困攻略の中で非常に重要な役割を演じており、また貧困扶助開発の中核的内容でもある。貧困地区の産業発展条件が大幅に改善され、脱貧困攻略の成果の定着・拡大と農村振興を効果的に結びつけるため確かな基礎を固めた」と述べた。