「小鹿の帽子」を被った全人代代表がここ数日話題になっている。内蒙古(内モンゴル)自治区鄂倫春(オロチョン)自治旗の代表を務める代喜院氏だ。被っているのはオロチョン族伝統の頭飾りで、帽子の上の動物は実はシカではなくノロジカだ。
全国両会(全国人民代表大会・全国人民政治協商会議)でこうした民族伝統の服飾を身に着けていたのは代喜院氏だけではない。阿昌(アチャン)族唯一の全国政協委員である段明龍氏は青い民族衣装で出席し、羌(チャン)族の全人代代表である余紹容氏は赤い民族衣装に銀の飾りをつけて出席した。
中国は多民族国家であり、民族平等が一貫した原則だ。全国両会では、全人代代表には各民族の代表が含まれており、全国政協は少数民族のグループを設けている。実際の生活でも、少数民族は風俗・習慣や歴史・文化を十分に尊重され、国や社会への平等な参加権を常に享受している。
全人代の会場で「小鹿の帽子」を被っていたのは、オロチョン族の代喜院氏。内モンゴル自治区の今年の全人代代表だ。代喜院氏はこの帽子が理由で自分がネットで話題になったことを意外に思うと同時に、自身やオロチョン族へのネット上の注目に非常に感激していた。
代喜院氏は、「帽子の上にあるのはシカではなくノロジカ。オロチョン族の人々は大切な祝日や祝典のたびにこれを被り、厳粛さを示す」と説明した。
代喜院氏によると、昔オロチョン族は狩猟民族だった。ノロジカを頭飾りにしたのは、1つには昔祖先の主要な食料であったためで、もう1つには狩猟の際にこうした帽子を被っているとより早く動物の注意を引き、狩猟の効率を高めることができたからだ。
ノロジカが国家二級保護動物に指定されたため、もうオロチョン族はノロジカ猟を行っていない。このため、ノロジカの帽子は無形文化遺産に登録されている。
全人代代表である代喜院氏は、両会で現地の発展に関わる提言も行った。今年提出したのは、「『三供一業』移管後の非県政府所在地集合住宅地区を都市部老朽集合住宅地区改造の対象に加えることに関する提言」だ。「三供一業」とは、企業の水道・電気・暖房供給と住宅保守・管理業務を指す。国務院と財政部(財務省)の指導意見に基づき、「三供一業」の分離移管が指示されている。つまり国有企業の社宅の水道・電気・暖房供給と住宅保守・管理機能を企業から分離し、民間の専門事業体による管理に移管するということだ。「老朽化した集合住宅地の改造過程において、徐々に問題が露呈してきているため、この提案を行った。我々の故郷がより良く発展し、人々が良い暮らしを送れるようにするためだ」と代喜院氏は語る。
オロチョン族は中国で人口が最も少ない少数民族の1つで、中国全土で9000人余りしかいない。また、内モンゴル自治区オロチョン自治旗に居住するオロチョン族は現在3017人しかいないという。(編集NA)
「人民網日本語版」2021年3月12日