関連する事件は枚挙に暇がない。ロサンゼルスでは韓国系の男性が街で殴打された。ニューヨークの地下鉄で、フィリピン系の男性がナイフで顔を切られた。テキサス州ミッドランドで、子供2人を含む3人のアジア系住民が暴力を振るわれた。華人レストランが落書きの被害にあい、アジア系住民による相乗りや配車が拒否され、アジア系医療従事者が患者から唾を吐かれ侮辱された。有名な華人バスケットボール選手の林書豪も、コートで「新型コロナウイルス」と罵られた。
米紙「USAトゥデイ」とイプソスが発表した最新の世論調査の結果によると、米国人の4分の1(うちアジア系は半数弱)がアジア系が感染症のスケープゴートになるのを目撃した。非営利団体「Stop AAPI Hate」は昨年3月中旬から今年2月上旬にかけて、アジア系への侮辱・暴力に関する報告を3800件弱受けた。カリフォルニア州立大学サンバーナーディーノ校ヘイト・過激主義研究センターが警察側のデータを分析したところ、米国最大の16都市で昨年、アジア系を対象とする憎悪犯罪が150%弱増加したことが分かった。
米国で現在、アジア系への差別と憎悪犯罪がエスカレートしているが、これは感染拡大による米国の人種関係の緊張、排外主義及びポピュリズムの傾向、社会の敵対的な雰囲気によるものだが、他にも文化の偏見や人種のステレオタイプなイメージといった原因がある。
新型コロナウイルスが昨年流行すると、当時のトランプ大統領は差別的な発言をした。また中米関係に紆余曲折が生じたことも、米国のアジア系への憎悪犯罪のエスカレートの重要な要因とされている。「American Journal of Public Health」が8日に発表した研究結果によると、感染症の流行から1年に渡り、反中言論の流布に伴い、米国社会のアジア系への偏見と攻撃が急増している。
さらにアジア系米国人の多元性と複雑さは、その他の人種を大きく上回っている。アジアの異なる地域にルーツを持ち、異なる教育を受けたアジア系住民は、社会的・経済的地位に大きな差がある。その政治、宗教、文化の隔たりが大きく、互いに疎遠になっている。これは米国の政治・社会生活におけるアジア系の発言権の不足を招いている。