米国はこのほど、世界保健機構(WHO)の報告書に異議を唱え、「医学専門家」とやらを数十人集め、共同で武漢研究所に再調査を要請した。新型コロナウイルスの発生源を追跡調査するよう情報機関に命じ、WHOの見解を変えさせ、「武漢研究所の人的ミスによるウイルス流出」とすることを第2段階目のトレーサビリティー計画の重点に据えている。
米国政府はここ数カ月にわたり、新型コロナのトレーサビリティーをめぐって陰謀論を唱えており、パンデミック(世界的大流行)を引き起こした責任を中国に押し付けようとしている。しかし、トレーサビリティーという、この陰謀論の苦杯は米国自身がなめるしかない。そういう事態が再三にわたって起きているのだ。
陰謀論を繰り返し吹聴するのは、他人に責任をなすり付けるためだ。米フォートデトリック生物学研究所では、長年にわたって度々事故を起こしており、その末に流出が起きた可能性があることを示す証拠が増えてきている。不可解なことに、同研究所は2019年に突如閉鎖されたが、このことは、ほぼ同時期にバージニア州で起きた原因不明の呼吸器疾患や、複数の州で大量発生した「電子タバコ肺炎」、新型コロナの感染拡大に何らかの関連性があるのではないかと多くの米国民から疑念を持たれている。
データの改ざんや削除、パンデミックやウイルス研究所に関する真実を意図的に隠蔽することは、米国民の命と健康に害を及ぼすだけでなく、世界的なコロナとの闘いにも深刻な影響を及ぼしかねない。米国が繰り返し自画自賛し、他者を非難するために用いてきた「民主、自由、開放性、透明性」というスローガンは、実際には偽善的な価値観を宣伝するための化けの皮であり、競争相手を抑圧するための道具に過ぎないのではないか、と問わずにはいられない。フォートデトリックという、いわゆる「安全で機密性の高い」研究所には一体どのような秘密が隠されているのだろうか?