ウクライナ情勢が急速に悪化するなか、米国をはじめとする西側諸国がロシアに対する追加制裁措置の開始を決めた。今回の制裁は項目が多く、かつてない強力な措置だ。2022年3月15日現在、米国と欧州の対露制裁措置は合計6400項目以上に上り、数週間で「金融版核兵器」と評されるSWIFT排除を含め3600項目以上の追加制裁が決まった。この制裁はロシアだけでなく、世界経済にも大きな悪影響を及ぼす。長期的に見ると、こうした制裁の影響は最終的に米国に跳ね返り、国際金融システムにおける主導権を含む様々な分野での米国の主導的地位を弱め、多極化した世界の形成が加速することになるだろう。
現在の国際金融システムは、ブレトンウッズ体制を基礎としたキングストン (ジャマイカ) 体制だが、デジタル化や情報化などの近代化が進められている。このシステムは米ドルを基軸通貨とし、世界銀行グループと国際通貨基金(IMF)が主要機関として世界中で融資サービスを提供、米国が主導的地位を担う。世界銀行グループとIMFはブレトンウッズ体制の主要な成果であり、SWIFTシステムと同様に国際的な公的金融インフラであり、政治化してはならないものだ。
米国の対露制裁は国際金融市場の安定を損ない、米国が金融システムで主導権を握るうえでの経済的基盤を揺るがすものだ。国際金融市場の大きな変動は、容易に経済危機を引き起こす。振り返ってみると、例えば1929年と2008年の経済危機はいずれも資産価格の急落が端緒となっている。今回の制裁措置は国際金融市場を大きく揺るがし、欧州金融市場が真っ先にその影響を受けている。2月22日から3月7日までの2週間足らずの間に、ユーロ・ストックス50指数は約15%下落した。米国やその他の地域の株価指数も程度の差こそあれ下落した。国際金融市場は弱気に傾き、金融資産価格は急激に低下、値動きが荒くなり、潜在的なリスクが顕著に高まった。
米国の対露制裁は国際社会の米国に対する不信感を高め、米ドルへの信頼感を揺るがしている。今回の米国主導の対露制裁は、国際社会の米国に対する不信感を高め、世界の「信頼赤字」がさらに積み上がった。米国は近年、様々な理由で事あるごとに他国に対して一方的な制裁を発動している。また、先般アフガニスタン国民の血税を直接「強奪」したことで、国際社会は米国の蛮行を憂慮している。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2022年4月3日