非西側の視点から見たロシアとウクライナの衝突

中国網日本語版  |  2022-05-01

非西側の視点から見たロシアとウクライナの衝突。

タグ:ウクライナ

発信時間:2022-05-01 15:59:13 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 西側の多くの人はロシアのウクライナでの軍事行動について、一部の例外を除き、全世界がそれに強く反対しているという前提で見ている。西側諸国それ自体が、多くの欧州諸国を含めて一斉に非難しているようだ。しかし世界規模で見ると、状況はもっと複雑だ。3月3日の国連総会では、141カ国がロシアを非難し即時撤退を求めたのに対し、35カ国が棄権し、5カ国が反対票を投じた。先般のロシアを国連人権理事会から排除しようとする投票では、93カ国が賛成、58カ国が棄権、24カ国が反対した。


 多くの国がロシアの行動について深く憂慮していることは明らかだが、米国の立場にも懸念が広がっている。最も興味深く、おそらく最も重要な事例はインドだ。過去20年余りに渡るインドの西洋化を考えれば、インドは米国を強く支持すると思われるかもしれない。しかしインドは逆に、米国を一貫して批判し、ロシアを支持する姿勢を貫いてきた。国連の重要な採決で、インドは一貫して棄権票を投じてきた。中国とインドだけでも世界人口の38%を占めているが、これは世界人口の約半分を占める各国政府が米国の立場に強い不安を感じていることを示す。


 理由は2つある。まず、インドをはじめとする多くの発展途上国は、ある国(この場合はウクライナ)が他の国(この場合はロシア)に国家の安全を脅かされたとしても、自由にやりたい放題やっていいという考え方に反対しているのだ。第2に、新たな戦争の形態として制裁を武器化することは、非常にネガティブな事態の進展だと広く受け止められている。最も曖昧な言い方をすれば、米国はロシアとの貿易を継続すると考えられるいかなる国に対して、いかなる方法でも行動を採る権利があると、事の真偽に関係なく決めつけてしまっているのだ。しかし、途上国にとって最も重要な優先事項は、貿易権とどこの地域からでも投資を受けられる権利だ。米国の制裁のやり方は、そのような自由を脅かすものだ。驚くべきことに、ほとんどの発展途上国がロシアへの制裁を拒否している。アジアでは、日本および韓国とシンガポールだけが制裁に同意している。


 インドとロシアの関係は1950年代にさかのぼる。インドはロシアを非常に重要な経済パートナー・主な武器供給国・長年の友人とみなしている。米国や英国など他国からの強力な説得にもかかわらず、インドは依然として米国のロシアに対する立場を支持することを拒否している。これで証明されるのは1つの事案に過ぎないのか、それともインドの対米姿勢の大きな転換を意味するものなのか?インドの外交政策に対する論評は著しく変化しており、多くの人々はインドがアメリカに近づきすぎているのではないか、より伝統的な中立の立場に戻るべきではないかと疑問を投げかけている。


 ウクライナ戦争をグローバルな視点から見ると、欧州や西側の偏狭な視点とはまったく異なる視点が見えてくる。世界人口の大半を占める途上国はこの問題について、欧州とは明らかに異なる考え方を持っている。彼らは米国の対応についても、同じかそれ以上に心配している。人々はこの戦争によって米国と欧州の距離が縮まったことに注目しているが、インドと米国の距離がますます離れ、それが将来的に何を意味するのかについてはほとんど目が向けられていない。これは中国・インド・ロシア間の限定された形の協力につながる可能性さえ考えられる。(著者:英ケンブリッジ大学上級研究員マーティン・ジャック氏)


 「中国網日本語版(チャイナネット)」2022年5月1日






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