米国に追随、日本は深入り禁物

中国網日本語版  |  2022-04-29

米国に追随、日本は深入り禁物。日本の反露がこれほど毅然たるものであるならば、日本がNATOに加盟することはあるだろうか。筆者は現段階では、その契機が訪れていないと見ている…

タグ:ウクライナ 価値観 ロシア NATO

発信時間:2022-04-29 11:32:40 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

文=霍建崗 中国現代国際関係研究院日本研究所副研究員


 ホワイトハウスは先ほど、バイデン米大統領が5月20−24日にかけて韓国と日本を歴訪し、東京でクアッド首脳会合に出席すると発表した。同時にブリンケン米国務長官は、6月のNATO首脳会議に日本も招待すると表明した。ブリンケン氏はさらに日本を、「NATO加盟国ではないが、NATO加盟国と関係を深めている友好国だ」と「称賛」した。日本とNATOの関係が緊密化しており、「日本はNATOに加盟するつもりなのか」という憶測を呼んでいる。


 今回のロシアとウクライナの衝突における日本の役割は非常に意味深だ。2014年のクリミア問題とウクライナ東部の問題をめぐり、日本は米国や欧州とはまったく異なる態度を示し、西側による当時の対露制裁に追随しなかった。ところがロシアとウクライナの衝突が発生すると、日本は躊躇せず非常にスムーズに米国や欧州と足並みを揃え、多くの問題をめぐり米国及び西側と態度を一致させようとしている。


 日本の「反露」への積極的な協力には戦略的な狙いがある。まず、日本は米国及び欧州と足並みを揃えているが、これは前政権の外交路線の踏襲だ。一致した「反露」は日本にとって、日米関係をさらに強化する強力な接着剤だ。


 次に、これを日本の価値観外交の実施の好機としている。安倍内閣が2006年に「自由と繁栄の弧」を掲げると、日本の外交の「価値観」カラーがますます濃厚になった。バイデン政権はロシアとウクライナの衝突をめぐり、何度も「民主主義と専制」の対立と称しているが、これは日本の意にかなった。日米欧は反露と同時に、中国が気がかりになっている。


 それから、国外から国内に働きかけるという動機がある。日本は近年、自国の安全環境が「かつてないほど」厳しく、「抑止力」の強化が必要と再三称している。しかし仮に「真の脅威」がなければ、働きかけようとしても原動力がない。ロシアとウクライナの衝突は日本が国内のタブーを打破し、軍事力を強化する好機となった。日本は衝突を極力利用しようとしている。


 日本の反露がこれほど毅然たるものであるならば、日本がNATOに加盟することはあるだろうか。筆者は現段階では、その契機が訪れていないと見ている。


 まず、加盟もしくは「アジア版NATO」の構築の決定権は日本ではなく米国にある。米国は当時、欧州でNATOを構築したが、極東で同じことをしなかった。その重要な理由は、アジア太平洋の複雑な状況だ。米国がアジア太平洋における安全政策の方針を変えず、犠牲を厭わずNATOをアジア太平洋に拡大するか、アジア太平洋で自身の「NATO」を作るのでなければ、日本が今のところNATOに加盟する可能性は低い。


 次に、NATOの同盟の「強度」は日米同盟を上回る。米国・欧州・日本の利益は高度に一致しているわけではない。NATOの拘束力は日米安保条約よりも強い。これは米国と欧州の日本に対する義務がより大きいことを意味する。日本が周辺の数カ国と領土係争を抱えていることを考えると、米国が寄せ集めで「アジア版NATO」を作るか、NATOをアジア太平洋まで拡大する場合、それはいずれも米国と欧州が日本関連の係争に巻き込まれる可能性を意味する。これは米国と欧州の利益に合致しない。同じく日本にとって、欧州はユーラシア大陸の向こう側にあり、日本の地政学的な利益と一致しない。NATOが存続しているのは、その地政学的利益の共通性が高いためだ。これは日本にはない条件だ。日本はひとたび加盟すれば逆に独立性を強くけん制される可能性がある。これは日本の指導部が考慮せざるを得ない問題だ。


 日本の外交が重視するのは「目先の利益」であり、現在は心中の利益に変化が生じたに過ぎない。目先の利益を過度に重視し、深入りしすぎれば、往々にして全局面の利益を失うことになる。

 

 「中国網日本語版(チャイナネット)」2022年4月29日

 

 

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