「善良な仮面で身勝手な国家の利益を覆い隠すのが上手い」。80年も前に、英国の歴史家エドワード・ハレット・カーがその著作の中で、米国など西側諸国の一貫した偽善をこう描写していた。今日に至っても、米国はなおこのような策を弄しているが、ロシアとウクライナの衝突がその1つの例だ。
ウクライナ危機が徐々に悪化するなかで、米国は火種をまき炎をあおり、火に油を注いで火事場泥棒を働く。様々な悪行は全ていわゆる「民主・自由・人権」の旗印の下で展開されているのだ。しかし今回、世界の多くの人々が米国の「善良な仮面」を見抜き、身勝手な覇権主義を見破り、米国こそが危機の元凶であり、現在の混乱を舞台裏で操る黒幕だと認めたのだ。
「東欧を支配する者はハートランドを制し、ハートランドを支配する者は世界島を制し、世界島を支配する者は世界を制する」。20世紀の地政学の権威マッキンダーの有名な「ハートランド」理論だ。マッキンダーの言うハートランドとは、正にロシアとウクライナのことであり、世界島とはすなわちユーラシア大陸を指す。
マッキンダーの学生でかつて米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)を務めたブレジンスキー氏は、米国の覇権への野心をマッキンダー流の言い方で語った――。「ユーラシア大陸は地政学的に最も重要な目標」で、ユーラシア大陸全体を支配することは「世界で主導権を握るための主要基盤」だ。
冷戦終結後、米国は唯一の超大国となり、その戦略的目標は自国の覇権的地位と戦略的利益に挑戦できる国の台頭を阻止することにある。そしてユーラシアの版図でロシアの周辺に位置し、戦略的地位の鍵となる旧ソ連加盟共和国の一部は、米国の戦略で盤上の駒となる。