中国は幻想を捨て、米国のデカップリングを直視せよ

中国網日本語版  |  2022-06-08

中国は幻想を捨て、米国のデカップリングを直視せよ。情勢がどうあれ、米国の中米「テクノロジー分野デカップリング」の衝動が不可避になっている…

タグ:デジタル デカップリング 戦略 産業

発信時間:2022-06-08 15:29:28 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

文=方興東 清華長江デルタ研究院デジタル文明研究センター主任


 2018年のZTEとファーウェイへの制裁を象徴とし、米国が中国に発動した「テクノロジー分野デカップリング」はすでに4年も続いている。これはすでに米政府及び政策エリートの共通認識になり、戦略面で基本枠組みの構築及び人員・機関の布陣を完了しており、法律・政策面で次々と実行段階に移っている。情勢がどうあれ、米国の中米「テクノロジー分野デカップリング」の衝動が不可避になっている。中国は幻想を捨て現実を直視し、この深い調整と変動を冷静に迎えるべきだ。


 まず、短期的な衝突は不可避だ。中国は長期的に米国とテクノロジーの相互依存関係を形成してきた。今後一定期間内に渡り、持続的に米国の各種政治勢力からの衝撃を受ける。そのため中国の産業チェーン・サプライチェーンに生じる潜在的な影響への対策を事前に練る必要がある。同時に過去には戻れないという心の準備をする。大多数のテック企業は過去30年に渡り、米国の中核技術と産業の環境に根ざした上で成長と発展を実現した。しかし新たな状況下、米国の技術革新に基づく産業の基礎と環境に依存し続けるのは不可能だ。


 次に、短期的な損失は不可避だ。米政府の「confinement」や「small yard, high fence」といった戦略が本当に奏効するかは現在も未知数だが、中国は短期的に米国のテクノロジーの基礎への依存度を落とす影響に耐えなければならない。米国には下から上へと層を成す整ったイノベーション環境があり、デカップリングのテクノロジー産業への影響が限定的であるため、現在は非対称的な戦いとなっている。デカップリングの痛みを和らげる良薬はない。重要なのは、中国が今日払っている学費により、大国のテクノロジー発展が自国の中核技術、イノベーションの基礎、産業の環境に根ざす必要があることに気づけるかだ。中国のテック企業は従来のローコスト研究開発の発展モデルを変え、高額の研究開発費を企業の基本スペックとし、中核技術の持続的な難関攻略を企業のコアコンピタンスの源とし、かつ未来のテクノロジーの長期計画を立てる。世界一流の高等教育、強く大きな基礎研究がなければ、一つの大国の持続的なイノベーションの基礎と産業の環境を形成できない。圧力を原動力に変え、危機をチャンスに変える。中国が今日拳を引っ込めるのは、近い将来により力強く打ち出すためだ。


 それから、開放を長期的に堅持しなければならない。米国のデカップリング戦略の中核は、中国とグローバル化のデカップリングだ。中国が自主イノベーションを閉鎖・隔絶・排他と理解するならば、それは米国の狙い通りだ。事実上、米国と欧州のネットユーザーを足しても世界の5分の1のみだ。欧米市場を引き続き掘り下げるほか、グローバル化にはより大きな未開の地があり、手つかずのより多くの成長源やイノベーションの原動力などがある。イノベーションについて、中国は米国よりも開放的なモデルを模索するべきだ。開放の道を揺るぎなくし、さらに世界との一体化に取り組むことで、封鎖のすべての企てを打ち砕くことができる。

 

 米国が今後「テクノロジー分野のデカップリング」を停止しうるケースは次の通り。(1)中国がイノベーションを主導する基礎を手にし、中核技術を把握する。(2)中国企業が本物のテクノロジー競争力を手にし、国際市場で米国企業に勝てるようになる。(3)テクノロジー戦争を通じより大きな利益を目指す米国の「増強回路」を崩壊させ、米国がデカップリングにより中国以上の損失を被るようにする。


 中米のテクノロジー勢力が新たなバランスを形成するまで、米国がデカップリング戦略を簡単に終了させることはない。ロシアとウクライナの衝突などの地政学的な突発的事件は、この戦略をさらに推進しようとする米国の決意を弱めるのではなく強化する。中国はこの情勢を避けられないが、消極的になる必要はない。米国とのテクノロジーの駆け引きにおいて、中国は一連の世界一流シンクタンクを使い、持続的かつ掘り下げた追跡研究を展開し、政府のイノベーションの意思決定及び戦略策定を長期的に支援するべきだ。新しいテクノロジー政策のトップダウンデザインを示し、国益に関わるという全局面的な高みに立ち、全体的に計画・展開する。テクノロジー関連の、これまでは分散し内外に分離していた政府部門を効果的に統合する。国の科学研究経費と資源配置は、最もイノベーションの活力がある中青年人材に多く向けるべきだ。


 この中米のテクノロジーの駆け引きは直接的に、世界のサプライチェーンの再構築及び未来の国際秩序に影響を及ぼす。これはまさに「千里離れた所で勝つ」だ。中国が適切に対応すれば、イノベーション能力の質的飛躍を実現する機会があり、またイノベーション文化及び戦略的能力も根本的に向上する可能性がある。そのため、中国は平然としてこの洗礼を見据え、迎えようではないか。


 「中国網日本語版(チャイナネット)」2022年6月8日

 

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