中国3大航空会社が1日、エアバスの旅客機を292機購入すると相次いで発表したことで、米メディアが不快感を隠せなくなっている。この総額370億ドル超の契約は、エアバスにとって過去最大規模とされている。ブルームバーグは、「これは中国が発したシグナルであり、ボーイングにとって大打撃だ」と伝えた。ボーイングは「失望」を表し、米中両国の「地政学的な争い」が同社の事業の将来性を損ねたと不満を漏らし、米中に対話を促した。
中国企業と他国の企業が交わす契約のすべてに「政治的な狙い」が含まれていると言うならば、それは米国による近年のビジネスへの無理な政治的干渉がどれほど深刻であるかを、米国の企業とメディアがどれほど「疑心暗鬼」になっているかを説明するだけだ。
実際に航空事業の協力は昔から中国・欧州ビジネス協力の一環となっている。エアバスは中国国内で組立工場を作っており、双方の協力は安定・成熟している。継続的な協力は驚くに値しない。また、この大きな契約は「長く苦しい交渉」によって手にした協力の成果であるはずだ。3大航空会社が集団で購入することで、価格面でも折り合いをつけやすい。またエアバスの燃費やユーロ安も決定への影響要素だっただろう。これは批判されるべき点のない正常なビジネス交流であり、その結果も平等・互恵だ。
エアバスとの競争に負けた米国側は当然不快だろう。国際市場での業績を見ると、エアバスは2019年以降に旅客機の受注や市場シェアなどの面で全面的にボーイングをリードしている。これはボーイング737MAXに安全問題があり、各国での飛行再開の問題が完全に解消されていないためだ。また米国国内のサプライチェーンの混乱も、ボーイングの交付能力に影響を及ぼした。ボーイングは今年5月、ボーイング737の生産停止を余儀なくされた。情報によると、ある中国航空会社は今年の早い時期に、「交付の不確実性」を理由に、ボーイングから100機超を購入する計画を取り消した。
この状況下、中国企業の「動機」を分析するよりも、米政府の行為を反省するほうがいいだろう。頻繁に「デカップリング」を口にし、制裁の棍棒を握り、貿易規制法を無理にでっち上げる国と、完全に安心して大規模な取引を行える者がいるだろうか。特に航空機は使用期間が長く、部品が複雑で、購入後の整備の専門性が高い製品であるのだからなおさらだ。この懸念は多くの場合、国家的行為でさえなく、各種商業団体が取引前に考慮する政治リスクだ。
米国商会は以前、米国が中国と全面的に「デカップリング」し、民間航空分野で中国への販売を完全にカットするならば、米国側の損失は毎年380−510億ドルにのぼり、16万7000人から22万5000人の雇用が流出すると見積もっていた。ボーイングも昨年、中国は今後20年で8700機の新型機(価値にして1兆5000億ドル弱)を必要とすると予想した。現在この370億ドル超の契約を失いボーイングが痛みを覚えており、米国の一部の政治家による対中デカップリング及びチェーン断裂、高い壁の構築の吹聴と操作を放任すれば、ボーイングを含む米国企業が直面するのは短期的ではなく長期的な痛みだ。
ボーイングは現在、「地政学的な争い」が自社のビジネスに影響を及ぼしていると不満を漏らしているが、これを中国のせいにはできない。これに何か政治的な要因があるとするならば、ビジネス問題を政治問題にする米国の身から出た錆と言うしかない。バイデン政権は昨年、ボーイングとエアバスの17年に渡る補助金を巡る紛争を棚上げにすることで合意し、欧州諸国を抱き込み「共に」中国に対抗しようとした。今やエアバスが中国航空会社と契約を交わすと、米メディアは再び嫉妬をむき出しにしている。これは欧州に対して、米国が叫ぶ「主義」の裏には何があるのかと、欧州に注意を促すかもしれない。また米国に対しても、政治的な操作が結局は市場の法則に勝てないと注意できるだろう。
ボーイングが最もすべきことは、中国を向きながら「失望」を表するのではなく、自社製品の競争力を高めた上で、市場法則の道理を米政府と議会にしっかり説明することだ。もちろんそうすべきはボーイングのみに留まらないのだが。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2022年7月4日