五輪の政治化に関するインドの記者の質問に対し、胡錦涛主席は次のように答えた。

五輪開催は中国国民にとって100年越しの夢だ。中国人は早くも1908年に中国はいつ五輪を開催できるのかという問題を提示していた。その100年後、五輪がようやく中国で開催される。中国国民はこの貴重なチャンスを非常に大切にしている。国民の願いはただ1つ、北京五輪というこの世界的なスポーツの祭典を成功させ、世界各国の人々が五輪旗の下に集い、五輪精神を発揚することだ。

五輪は各国選手が夢と栄光を実現する舞台であり、世界各国の人々が理解と友情を深める場でもある。世界のそれぞれの地域の人々が、それぞれの問題に対し、それぞれの見方を持っているのは避けられない。相互尊重を基盤に平等な対話を通じて、対立を縮小し、共通認識を拡大しなければならない。五輪を政治化することは、問題解決の妨げになるばかりか、五輪精神に背き、世界各国の人々の共通の願いに背き、最終的には国際的なオリンピックの発展に傷をつけることにもなる。

「北京五輪の後、中国にはどういった国内外の挑戦が待ち受けているか？それをいかに対処するか？五輪投資は投資と経済の成長を牽引してきたが、改革開放30周年を迎えるこの年、中国は経済面でどういった政策を講じて発展の勢いを維持するのか？」というロイター通信社の記者の質問に対し、胡錦涛主席は次のように答えた。

五輪への準備が北京の経済・社会の発展を力強く牽引してきたことは疑う余地がないが、北京の経済総量は全国のごく一部でしかない。このため、五輪の準備が中国経済の発展に与える牽引作用を過剰に見積もるべきではない。今年に入って、中国経済の発展には大きな挑戦と試練が立ちはだかり、中国国民は団結・奮闘して歴史的にも稀に見る冷害・大雨・雪害・大震災を克服し、経済・社会発展にプラスとなる勢いを保持した。中国の国内総生産は上半期、10.４％増加したものの、現在の国際的な環境は不確定かつ不安定な要素が増え、国内の経済発展に直面する挑戦と困難が増大していることは一目瞭然だ。このような状況に対し、科学的な発展観を徹底して深め、経済の安定した高成長を保持し、物価急高騰の抑制をマクロ調整の第一任務とすることを明確に提示した。このため、▽第一に、マクロ調整を持続的に強化・改善し、経済動向における明らかな矛盾と問題の解決に着手する▽第二に、改革開放の深化を続け、経済メカニズムの調整と発展方法の変換推進に力を注ぎ、経済発展の質と効益を向上する▽第三に、生態の環境保護と省エネ・排ガス削減を確実に強化する▽第四に、国民生活の改善にいっそう重点を置く――ことを要求した。また、わたしたちは全国国民の団結・奮闘と国際社会の大きな支持のもと、被災地の震災復興をさらに進め、被災者が一日も早く美しい郷里を再建できるよう支援を続けていく。

さらに、経済体制の改革を絶えず深化し、経済の良く、速い発展の推進に努力すると同時に、政治体制の改革を含む全面改革を深化させ、社会主義における民主を拡大し、社会主義における法治国家を建設し、行政管理体制の改革を加速し、国家機関の業務効率とサービスの水準を向上し、国民の各権益をより保障し、団結・安定・調和のとれた活発な政治局面を固め、発展を継続的に進めていく考えだ。

「北京五輪を成功に導く決定的な要素は何か？」というメキシコの記者の質問に対し、胡錦涛主席は次のように答えた。

各五輪はそれぞれ独自の特色を持ち、どれも世界各国の人々に忘れ難い記憶を残すものだ。五輪を成功に導くには競技会場の建設や運営、都市経営の確保、環境整備、報道宣伝、ボランティアのサービス、安全保障など数多くの要素が絡んでくる。これらはすべて非常に重要で、どれが欠けてもだめだが、中でもその決定的な要素は、団結・友情・平和の五輪精神を広く宣揚し、各国選手にフェアな競技の舞台を提供し、選手らに最大限の個性と実力を発揮させ、五大陸の友人が相互理解と友情を深め、世界各国の人々が五輪の喜びを分かち合うことだと思う。