米国防総省は性暴力を、軍の面子、軍側の責任、軍人のプライバシーに関わることから、最も外部に知られてはならない「家の恥」と見なしている。だがそれでも「家の恥」は外部に漏れ続けている。「中国青年報」が伝えた。
1月にサンダンス映画祭(米ユタ州パークシティ)で初上映されたカービー・ディック監督のドキュメンタリー映画「The Invisible War」は、強烈な反響を呼んだ。米軍内の性暴力被害者の経験と傷に正面から向き合った作品だ。監督の呼びかけ通り、軍に対して政策を見直し、性暴力を敵として、「目に見えない戦争」を戦うよう求める声が次々と上がっている。
実は米国防総省は20年も前から、軍内に性暴力が存在することを認めている。米軍は1991年の湾岸戦争に史上前例のない3万7000人もの女性軍人を投入。その後、女性軍人の戦闘部隊への派遣を禁じる規定を撤廃した。戦争で女性を例外視しなくなったことで、性関連の事件も後を絶たなくなった。最近の2010年度の場合、女性軍人は20万人に達し、性暴力事件は3158件にまで増加している。
もちろん、性暴力の原因を単純に女性比率の高さに帰すことはできない。実は米軍は戦争への女性の投入にあたり、その直面する危険について早くから準備も整えている。戦場での女性軍人の危険を減らすため、その持ち場について明確な規定を定めているのだ。ただ、女性軍人の直面する最大の危険が敵ではなく、「戦友」であることを予想していなかっただけだ。
アフガニスタンとイラクの2つの戦争では、女性兵士は「戦友」からの強姦被害者数が負傷者数を遥かに上回っている。米国防総省退役軍人事務室の調査によると、米軍女性兵士の実に3分の1が服役中に強姦されている。
米軍は醜態を隠そうと、性暴力事件を「聞くな、言うな」の軍事秘密の1つにした。多くの被害者は暴行に遭っても報告せず、指揮官も知っていても報告しないため、ドキュメンタリーで暴露されたのは氷山の一角に過ぎない。パネッタ国防長官でさえ、2010年度の軍内の性暴力事件は控え目に見ても1万9000件に上るだろうとしている。150万人の軍隊で、約100人に1人が性暴力の被害者というのは、驚くほど高い比率だ。
「人民網日本語版」2012年2月3日