最近、『世界知的所有権機関(WIPO)著作権条約』、『世界知的所有権機関実演・レコード条約』(当面中国の香港と澳門(マカオ)特別行政区には適用しない)という国際著作権条約が中国で発効した。この2つの条約は《ベルヌ条約》および『ローマ条約』で確立された在来の著作権および隣接権保護の原則をデジタル環境(特にネット環境)に延長し、新技術が著作権保護にもたらす新しい課題を解決するためのものである。したがって、この2つの条約は「インターネット条約」とも言われている。
この「インターネット条約」の最も肝心なところは、ネット上の伝播を含めた一般の人々へ伝播する権利について規定を設けたことである。そのほか、この条約はまたコンピュータ・プログラム、データベース、賃貸権、デジタル環境の下での複製権、技術保護措置、権利管理情報、実演者の精神的権利の保護およびデジタル環境の下での権利に対する制限、効果的な法律実行などについて規定している。この2つの条約に基づき、いかなるネット上の著作者、実演者、録音・録画製品制作者の許可を得ずに、勝手にそのネット上の作品を利用したものは、権利侵害の責任を取らなければならないことになっている。
「この2つの条約の発効は、中国への影響はそれほど大きなものではない。2001年に、中国が著作権法を改正する際、すでにこの2つの条約の主な条項の内容を採り入れていたからだ」、と中国社会科学院知的所有権センター副主任である李順徳教授は記者に語ってくれた。
2001年の中国のWTO加盟以降、西側諸国は対中貿易の問題点を在来の貿易から知的所有権に移し、中国に絶えずプレッシャーをかけている。知的所有権保護、特に著作権保護の問題は、すでに対外経済・貿易において、避けて通れない重要な問題となっている。
「中国の知的所有権に関する立法は、すでにかなり完ぺきなものであり、国際条約の要求に合致するものである」と、李順徳教授は言う。だが、保護の度合いから言うと、中国は確かにいくつかの先進諸国との間においては一定のギャップがある。しかし、これはそれぞれの国の状況によるものである。今のインターネット関連の新技術の発展はかなり速く、ネット上の著作権保護も発展的なものであり、徐々に前進するプロセスを必要とするものである、と李順徳教授は付け加えた。