無期限雇用契約をめぐる争い
今年6月19日に労働契約法が可決されると、同法が企業の発展に不利だとか、中国経済にマイナスの影響を与えるといった意見が噴出した。
企業から批判が相次いだのは同法第14条。すなわち、被雇用者が勤続期間が満10年に達するか2回連続で期限付き雇用契約を結んだ場合、事業所は無期限雇用契約を結ばなければならないというものだ。
労働契約法の起草から公布に至るまでの期間、無期限雇用契約は常に争点となってきた。無期限雇用契約は労働者に安定感を与えるにはプラスだが、企業の負担を重くし、労使関係の緊張を招くため、企業の革新と発展には不利だとの意見も出た。また、企業の懸念は、労働者と無期限雇用契約を結べば、「終身従業員」を抱えることになり、企業のコストを増大させ、従業員間の競争を阻害するというものだった。
これに対し、労働法に詳しい中国人民大学の常凱教授は、「企業の懸念は誤解で、無期限雇用契約とは労働契約の主体が双方とも契約満了期限を定めていない契約を指し、それ以上の特別な待遇はない」と説明した。つまり、法律が定める契約解除条件を満たすか、従業員削減が可能な状況下では、期限付き雇用契約と同様に解除ができるという話だ。従業員削減が必要なときは削減しなければならず、無期限契約は終身雇用制を意味するものではない。
常教授はまた、「期限付き契約の終了は補償を伴うが、無期限契約の終了に補償措置はないため、企業にとってはむしろコスト削減につながる」と指摘した。さらに、「法律が企業に無期限契約の締結を進めるのは、長期的に見れば従業員と企業の双方にとって有利だからだ。無期限雇用契約は市場経済国ではどこでも採用しているもので、中国独自のものではない」と述べた。
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