安価な労働力に頼る考えを改めよう
労働契約法をめぐる各界の疑問について、常教授は「労働契約法は労働者を守るもので、労使双方を同時に保護するものではない。雇用関係とは形式上は平等だが実際には不平等な関係だ。労働者は弱者で、法律は弱者を支援し双方の権利のバランスを図るのが目的だ。労働者の解雇を困難にすることは、労働契約法の特徴であり、各国の労働法規も同様だ」と指摘した。
中国における短期労働契約は、現在の労働契約の特徴だという。常教授は「安価で豊富な労働力は中国の強みであり、安易に放棄すべきではない。ただ、労働力の安さがどの程度で、どれだけ持続するのか、真剣に考える必要がある。労働契約法の施行後は、労働コストの安さで競争しようという考えを変えることが必要で、労働法規の条件に合った人材資源管理体系をいかに構築していくかが企業改革の重要な選択となる」と主張した。
多くの企業が労働契約法施行によるコスト上昇を心配していることについて、常教授は「労働契約法が企業のコスト負担を増大させるという言い方は公正ではない。なぜなら中国の労働コストはもともと安く、適切で公平なレベルに達していないからだ。中国経済は20年以上の高度成長を続けてきたが、その間労働コストの安さが主要な競争手段となってきた。また、中国が世界貿易機関(WTO)に加盟したからには、国際経済・貿易と労働基準に関連性を持たせるべきだ」と述べた上で、「ダンピングや中国製品の品質問題など、労働コストの安さによる弊害も表れており、労働力の安さを競争手段とする現状は改めるべきだ」と力説した。
常教授は最後に、「労働契約法の公布に適応できた者が発展でき、競争力を持つ。この厳しい試練に企業は注意を払わなければならない。人事部門は具体的な労働戦略に基づく新たな対策が求められる。こうした圧力は、企業の管理能力、管理レベルを向上させる契機になるだろう」と話した。
「人民網日本語版」2007年11月20日
|