国家統計局の李徳水・元局長は「十七大(中国共産党第17回全国代表大会)精神」の学習についての座談会に出席し、中国の過剰な流動資金について次のように述べた。
中国に過剰な流動資金をもたらした最も直接的な原因は、外貨準備の急速な伸びだ。外貨準備が不足気味の時代には、国はあらゆる手段を用いて外貨収入を生み出していたが、現在は外貨が多すぎることが問題になっている。外貨準備は1978年にはわずか1億6700万ドルだったのが、それから25年後の2003年には4033億ドルに到達した。さらに04~05年の2年で倍増して8189億ドルに達し、06年には2473億ドル増加して、今年9月末現在の外貨準備残高は1兆4336億ドルとなった。また9月末現在の中国人民銀行(中央銀行)の手形引受額は12兆5700億元に達し、同行の資産総額の約70%を占めた。手形引受は基軸通貨(米ドル)で行われ、預金や融資のプロセスで5倍前後の乗数効果を挙げることから、中央銀行、銀行システム、市場の3方面で一般的に過剰な流動資金が生じた。これも投資の急速な伸び、過剰な融資、資産価格を含む価格の急上昇に向けて、最も基本的な条件を作り出す一因となった。
こうした状況を生んだ原因は非常に複雑だ。国内をみると、長期的に形成された経済構造には不合理な点が多くあること、経済発展モデルが粗放型であることなどが挙げられる。世界をみると、経済グローバル化のペース加速や国際的な産業分業に生じた新たな局面といった客観的な原因がある。最も根本的な原因は、米ドル本位制に基づく国際金融システムには基本的な制約がなく、債務通貨が米ドルを生みだし、米ドル債務の爆発的増加と外貨準備の中心通貨(米ドル)の大量発行が、米ドルのだぶつきや世界規模での過剰な流動資金をもたらす。こうした発生した大量の通貨がアジア市場の米ドル、石油市場の米ドル、鉱石市場の米ドルにと姿を変える。中国はこうした国際的な過剰な流動資金が突破口を見いだす上での、重要なはたらきかけ対象の一つであることは間違いない。
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