そこで、無期限労働契約になることを防止する対策として、労働者との労働契約が満了するのに合わせ、労働者との労働関係を、労働者派遣へと切り替えることを検討している企業がある。しかしこの手法は、脱法行為として無効と認定されるおそれがある。
この点については、2006年度の10大労働紛争事件の一つとして知られる事例を紹介したい。
北京ケンタッキー有限公司は、10年以上にわたり、事実上の労働関係のあった従業員の身分を、派遣企業の派遣労働者へと切り替え、その後、この従業員の職務上のミスを理由に解雇した。このためこの従業員は、11年の勤務年数に応じた補償金2万元余の支払いを求めたところ、労働契約がないため労働関係もない、として補償金の支払いを拒否された。
解雇された従業員が提起した仲裁・訴訟第一審は、北京ケンタッキーの主張を認め、北京ケンタッキーが勝訴した。しかし、多くの学者や専門家は、事実上の労働関係のあったにもかかわらず、偽の労務派遣に切り替えたとして、北京ケンタッキーと派遣企業との派遣契約は無効であるとの見解を示した。
そこで、第二審において、北京ケンタッキーは、事実上の労働関係があったことを認め、この従業員と和解した。
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