メーカー悩ます特許料
東芝の西田厚聡社長は2月19日、HD-DVDのプレーヤーとレコーダーの生産を3月末までに全面的に停止すると発表し、東芝とソニーの6年にわたる次世代DVD規格争いは幕を閉じた。
中国国内のメーカーはこの技術争いの中で影響を受けたのだろうか。また東芝のHD-DVD撤退という結末は中国の次世代技術の選択と自主開発の現状にどんな変化をもたらすのだろうか。「中国経済週刊」の長編レポートをまとめた。
中国経済週刊の記者はDVDの規格争いについて中国国内でDVD機器を製造するメーカー数社と連絡を取った。その結果、各社とも規格争いへの注目は共通していたものの、自社の立場と今後の方向については明確な回答が得られなかった。
業界関係者によると、中国は10年前の時点で世界のDVD機器生産80%のシェアを誇っていたものの、現在は下り坂となっている。広東省を例にあげると、DVD機器の生産量は国内の70%を占めているが、OEM (相手先ブランド生産)が主流で、国内市場を引っ張る自社ブランド企業はきわめて少なく、DVD機器1台の価格も400元以下。国内市場トップ10に入る大型メーカーも売上額を年々下げている。
業界関係者の分析によると、HD-DVDが勝ってもブルーレイ・ディスクが勝っても、中国企業にはいかなる発言権もなく、ライセンス料をどちらに払うかという違いにすぎないのが現状だ。中国電子音響工業協会(CAIA)の資料によると、中国のメーカーは1999年から1台のDVD機器を生産するごとに3Cグループ(フィリップス、ソニー、パイオニア)に5ドル、6Cグループ(日立、パナソニック、JVC、三菱電機、東芝、タイムワーナー)に4ドルのライセンス料を払わなければならない。さらにトムソン、ドルビー、MPEG-LAに支払う分を加えると、ライセンス料支払い額はDVD輸出価格の半分近くを占め、メーカーの利益はほんのわずかしかない。ここ数年で新たなメーカーはDVD産業に足を踏み入れていないが、倒産したメーカーは数十社にのぼるという。
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