北京オリンピックの開催を8月に控え、オリンピック以降の中国経済の動向が注目を集め始めている。中国経済はオリンピック後も急速な発展を維持することができるのか。それともほかのオリンピック開催国と同じようにある程度の落ち込みを経験するのか。世界銀行の副総裁とチーフエコノミストを務める林毅夫氏がオリンピック後の中国経済の行方を占った。
オリンピック終了後に経済不振が訪れるのではないか。これは、オリンピック開催国がみな直面する問題だ。オリンピック前には非常に多くの新たな投資がなされる。北京でもオリンピック開催のため、競技場・飛行場・地下鉄・道路などが新たに建設されており、これらの巨額の投資はオリンピック前の急速な経済成長を引っ張る力となっている。オリンピックが終了すれば、これらの投資項目も完了する。新たな投資がなければ、経済は確かにしばらくの間落ち込むことになるだろう。
しかしこのような状況は中国では発生しない。中国の経済規模がほかのオリンピック開催国よりもはるかに大きいからだ。04年にアテネオリンピックを開催したギリシャのGDPは1850億ドル、00年にシドニーオリンピックを開催したオーストラリアのGDPは3900億ドルだった。これに対し、中国の昨年のGDPは3兆ドルに達しており、ギリシャの16倍、オーストラリアの8倍の規模となっている。オリンピック開催に必要な投資額は国によってもちろん違うが、中国の経済規模はほかの開催国の何倍もあり、オリンピック関連の投資が中国経済に占める割合はそれほど大きくない。
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