ここ数カ月間、株式市場が下落を続け、投資家の信頼感が大きく損なわれた。こうした時に市場は、「好材料」となる政策が打ち出され、市場が低迷状態から脱出できることを期待する。中でも注目が集まっているのは、株式取引に伴う印紙税の調整だ。印紙税の調整は市場の流れを変え得るか。なぜ印紙税のさらなる調整が必要なのだろうか。市場関係者からはさまざまな声が上がっている。
印紙税は市場調整の有力な手段
証券取引に伴う印紙税とは、証券取引の取引額に応じて徴収する税種だ。中国証券市場にとって、印紙税は政府の収入を増やすための手段であり、政府の市場調整の重要なツールでもある。1990年に徴収を開始して以来、印紙税率はこれまでに7回の調整が行われた。
以前からの株投資家であれ、ここ1~2年間に新規参入した株投資家であれ、多くの投資家が印紙税の「威力」を実感している。2007年3~5月、上海・深セン両証券取引所は短期間に大幅に上昇した。5月30日に印紙税率が1%から3%に引き上げられると、その後1週間で上海総合指数は20%以上も下落し、多くの銘柄がストップ安をつけた。今ふりかえってみると、この時は印紙税引き上げ調整により投機的行為が大いに抑制されたといえる。調整以前は市場取引が活発すぎ、5月末には両市場の一日当たり取引額が4千億元に迫ったこともあった。調整後にも指数は再び上昇し、たびたび最高記録を塗り替えたが、取引額は明らかに減少した。
中国株式市場の発展プロセスを振り返ると、印紙税は常に投資家が最も関心を寄せる政策的「風向計」となっている。過去の印紙税調整をみると、基本的に市場が低迷する時期には税率を引き下げ、過熱する時期には税率を引き上げており、調整の意図が明確にうかがわれる。特に成功した調整は1997年5月に行われた3%から5%への引き上げで、これに呼応して株価指数も同年の新記録を更新した。
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