インフレ:原因は通貨かコストか
現在の物価上昇局面はつまるところ、通貨要因がもたらした全面的なインフレなのか、コスト要因がもたらした構造的な価格上昇なのか。この問題をめぐり、学術界では議論が沸騰している。
国家統計局の姚景源チーフアナリストは「中国には確かにまだ全面的な物価上昇局面は形成されていない。現在の物価上昇局面は食品価格が主導する構造的な価格上昇だ。今年1~4月の消費者物価指数(CPI)上昇率は8.2%で、うち食品価格の貢献度は84.7%だった」と話す。清華大学経済管理学院金融学部の李稲葵主任も「現在の物価上昇局面はコストによるもので、通貨によるものではない」との見方を示す。
モルガンスタンレー大中華区の王慶チーフエコノミストによると、インフレは一つの通貨現象だが、現在、広義マネーサプライ(M2)の増加率は昨年を明らかに下回り、CPI上昇率は鈍化し、輸出の伸びも鈍化している。こうした現象から中国のインフレは問題視するに足らないことがわかる。5月にM2の伸びが反発したが、本質的には通貨ニーズの増加によるもので、通貨に関する条件が緩和されたことを意味しない。
資源製品の価格改革について李主任は次のような見方を示す。CPI上昇率が高いため、今後半年ないし一年以内に資源製品の価格調整を行う必要はないが、国の関連部門は調整のタイムテーブルを明らかにするべきだ。そうすれば国内消費者に一つの手引きを示すことになると同時に、国際原油価格を引き下げる契機になる可能性がある。
前出の王常務副院長は、資源製品の価格改革は局部的な実施にとどめるべきだとし、「私たちの試算では、製品油価格の開放がインフレに与える影響は大きくない」と述べる。
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