マクロ調整:過熱の防止か冷え込みの防止か
前出の李主任は「政府官僚の大部分がマクロ調整の重点を経済の過熱防止に置くべきだとしているが、私は経済成長の急激な落ち込み防止に置くべきだと考えている」と述べ、米国の低所得者向け(サブプライム)住宅ローンの焦げ付き問題が世界経済の枠組を変化させ、ベトナムで発生した金融問題はアジア金融危機の序幕に過ぎないとの見方を示す。
前出の王常務副院長も次のように述べる。経済の周期的なペースダウンや政策的な引き締めを回避するとともに、外部環境の影響といった各種要因が加わって、中国経済の伸びを大幅に落ち込ませることを回避しなくてはならない。マクロ調整は適度な投資の伸びを維持するべきで、通貨政策は短期的には引き続いて引き締め政策を取るべきだが、タイミングや引き締めの程度については柔軟に対応する必要がある。財政政策はより積極的な役割を果たすべきで、国債の発行や商業銀行における資金の過剰な流動性を四川大地震の復興に転用することなどを検討するとよい。また海外投資への資金貸付の条件緩和を推進することも必要だ。
前出の王チーフアナリストは「中国マクロ経済の最大の課題はレート政策だ。レート上昇観測があるから、ホットマネーの流入が止まない。観測打ち消しの実際の操作には二つの方法があり、一つは人民元と米ドルとを直接連動させる方法であり、もう一つは人民元を一度大幅に切り上げるという方法だ」と話す。
中国人民大学経済研究所の毛振華・連席所長は「中国経済は夏から秋に移り始めたところだ。通貨引き締め政策は調整すべきであり、財政政策はより積極的なものにすべきだ」との見方を示す。
「人民網日本語版」2008年6月16日
|