(2)不動産価格の低下
大都市の不動産価格を風向計とする不動産市場には今年上半期、大きな変化が起こった。
昨年9月、2軒目の住宅購入に対する住宅ローンの制限が打ち出された。それに伴い、不動産購入者は様子見の態度を取るようになり、投資家もコスト増大から次々と市場を離れた。ディベロッパーは資金繰りを保証するため、不動産を値下げして販売せざるをえなくなった。北京の不動産市場は年初の「価格上昇、販売量減少」から「価格停滞、販売量減少」の局面に移行。深センなど一部の都市では不動産価格が明らかに下落する事態となった。
不動産価格の上昇幅は数カ月連続で縮小している。国家発展改革委員会と国家統計局の調査によると、全国70カ所の大型・中型都市の不動産価格上昇率は今年5月、新築物件で前月比0.6ポイント下落し、中古物件で1.5ポイント下落した。
不動産販売面積も縮小している。住宅・都市農村建設部の最新データによると、全国40カ所の重点都市の住宅販売面積は今年1~5月、新築分譲住宅で昨年同期比24.9%縮小し、中古住宅で20.9%縮小した。土地使用権の入札でもしばしば取引が成立しない事態が発生した。金融引き締め政策の影響を受け、土地取引市場は昨年末以来、寒波に突入。多くのディベロッパーが大量の土地取得のリスクを正視するようになり、土地使用権の入札不成立は全国で数10件にのぼっている。
専門家によると、中国の不動産市場は苦しい調整期を経験し、理性を取り戻しつつある。中国人民大学経済研究所の発表した最新の研究報告によると、不動産投資と不動産価格は今年下半期および来年にわたり下落の局面を迎える見込みだ。
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