(6)ホットマネー
中国社会科学院が発表した研究報告によると、中国に流入したホットマネーは1兆7500億ドルにおよび、中国の外貨準備総額にほぼ匹敵する額に達している。中国は年初以来、ホットマネーの流入の影響を受けて、金利調整や為替レート変動などに関連する政策決定でジレンマに陥っている。
米サブプライム危機の発生後、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)は市場を救うため、昨年9月から7回にわたる利下げを行ってきた。一方、中国の中央銀行は昨年から6回の利上げを行ってきた。こうして中国と米国の金利差は逆転し、徐々に拡大した。これに加えて人民元の値上がりも影響し、利ざや狙いのホットマネーが中国に流入する傾向が強まった。金利と両替レートで利ざやを稼ぐだけで、これらのホットマネーには10%以上の収益が出る。さらに中国の資本市場・不動産市場の資産価格の急速な上昇も、ホットマネーの急速な流入の大きな原因となった。
過度のホットマネー流入は中国市場の流動性を拡大し、インフレ圧力を高める。さらに株式市場や不動産市場への投機資金の流入は資産価格を容易に高め、バブル発生につながる。上海総合指数は昨年下半期、海外資本の一部がサブプライム問題で引き上げたことを受け、6000ポイント台から一気に下落した。
FRBは6月25日、現在のレベルでの金利据え置きを宣言した。連続7回の利下げがなされた金利政策の方向性を変える決定となった。中国と米国の金利反転とホットマネー流出を警戒する声は決して誇張されたものではない。資本流動の逆転というリスクは現在も累積している。もしもホットマネーが大規模に流出すれば、中国の金融秩序に計り知れない影響を与えることになる。
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