(8)災害支援
中国南部は今年初め、低温・降雨・降雪・凍結などの極端な天候に見舞われた。電力設備や交通施設に大きな損害が発生し、直接的な経済損失は1516億5千万元にのぼった。5月12日には、中華人民共和国史上で最強の破壊力と最大の被災規模となる四川大地震が発生。四川省・甘粛省・陝西省・重慶市などに深刻な損失を生み出した。国を挙げての震災支援が続くなかで、南部ではさらに、洪水・浸水の大きな被害が出た。これら一連の突発的な自然災害は、中国の経済・社会の急速で安定した発展に困難をもたらすものとなった。
国務院発展研究センターのマクロ経済研究部の余斌・部長によると、南部の悪天候被害が08年の経済成長率に与えるマイナス影響は、投入産出分析(産業連関分析)に基づき、0.9ポイントと算出された。温家宝総理は今年3月の両会(全人代と全国政協)で、「今年は中国経済にとって最も困難な1年となるかもしれない」と述べている。
四川大地震による被害は年初の悪天候被害をはるかに上回り、直接的な経済損失は2000億元を超えた。中央財政は今年、震災復興資金として700億元を割り当てた。さらに09年と10年にも復興資金を支給していく方針で、財政支出に与える圧力は大きい。
南部の洪水・浸水災害も広西・広東・湖南・江西などに深刻な被害を与えた。安徽・江蘇・浙江・雲南などでも引き続き豪雨が発生しており、厳しい状況となっている。専門家によると、黄河と長江の流域では今年、洪水・浸水の被害が同時に発生する可能性がある。
中国経済の成長速度は今年、これらの自然災害の影響を受け、小幅に低下する可能性がある。ただ長期的な高成長という中国経済の方向は変わらない見通しだ。
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