(9)預金準備率
中国人民銀行(中央銀行)は今年上半期、5回にわたる預金準備率の引き上げを行った。中国の金融機関の預金準備率は現在、17.5%という高い水準になっている。
中国社会科学院金融所の専門家である彭興韻氏は、「(預金準備率の度重なる引き上げは)中国の外貨準備高の急速な増加による流動性圧力がまだ弱まっていないことを示すものだ。また中国経済がマクロ的には依然として過熱の圧力に直面しているということを表すものでもある。地震災害は金融政策の引き締め傾向を変更する要因とはならない」と分析する。
今年1~4月、貿易黒字は減少したものの、外貨準備高とそれに相応する人民元流通量の増加は昨年同期より加速した。海外流動資金の流入がベースマネーの拡大に与える圧力は依然として大きい。投資需要はここ最近で弱まったものの、今後再び高まる可能性は大きい。国内のローン需要は依然として高く、震災復興もローン需要をさらに高めるとみられる。経済の過熱への圧力はこれからも無視できない。
6回の利上げと10回の預金準備率引き上げが行われた昨年と比べると、今年上半期のマクロ調整はずっと穏やかとなっている。予期されていた利上げは上半期中には行われず、預金準備金率引き上げが5回にわたって行われた。中央銀行は今年、利上げに慎重な態度を取り、ほぼ毎月の準備金引き上げで調整を行ってきた。国家情報センターの専門家である張永軍氏は、「商業銀行の預金が急速に増加しており、比較的ゆるい資金供給が行われている現状に対しては、中央銀行が流動性を収縮させる手を打つことが必要だ」と指摘している。
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