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金融危機の影響を受けるのは、経営が破綻したり、合併買収(M&A)の対象となったりした金融機関に勤めるウオール街関係者だけではないかとみる人が多いが、実際はそうではない。バンク・オブ・アメリカはメリルリンチを買収した「勝利者」のようだが、同行金利部門で営業を担当していたある管理職は、つい2日前の夜に突如解雇を告げられたという。
シンガポール出身で、米国コロンビア大学で経営学修士(MBA)を取得したハイレベル人材の同管理職は、感慨深げに「今回の金融危機は非常に恐ろしい」と話す。業界関係者にはこれまで、給与のほかに年末になると多額の各種配当が入るのが一般的だったが、今となっては夢のまた夢で、ウオール街の「配当天国」は過去のものになってしまった。同管理職によると、今回の金融危機で顧客は取引に慎重になり、銀行も慎重な姿勢を取って、顧客を安易に信用しなくなり、取引もしなくなった。こうして顧客と銀行との両方が金を稼げなくなったという。ウオール街関係者の中には、ニューヨークを離れ、新天地でやり直そうと考える人もいる。それ以外の多くの人は情勢を見定めながら慎重に動いているが、長期的な計画は立てられず、現在の状況が来年になりさらに悪化しないことを願うばかりだという。