危機を受けて大幅に落ち込んだ金融業界は、実体経済の回復を心待ちにしている。だが実体経済の回復には長いプロセスが必要だ。朱副行長によると、米国では不動産価格の調整がまだ十分には行われておらず、不動産価格がこれ以上低下するようなことがあれば、銀行の資産も目減りし、新たな危機発生のプロセスが繰り返されることになる。より重要なことは、米国は資産が消費を主導する国だということだ。米国の国内総生産(GDP)の88%は消費の伸びに支えられており、消費の伸びは10%の富裕層が牽引している。金融危機により富裕層の資産は継続的に目減りしており、大量の消費は望めない。資産が継続的に目減りすれば、消費は伸びなくなり、GDPも伸びなくなる。これが米国の情況であり、ひいてはドイツ、日本、中国、韓国といった製造業と輸出を中心とする国に生産能力の過剰という問題をもたらしている。米国を代表とする国はてこ入れの問題に悩んでおり、ドイツや中国などは生産能力の調整問題で悩んでいる。
それでは、世界はどのような方法で今回の危機を脱するのだろうか。朱副行長によると、世界の発展史を振り返れば、経済危機に対処するには3つの方法しかない。インフレという方法、倒産という方法、公共の支出で個人消費をカバーする方法であり、それぞれドイツ、米国、日本が編み出したやり方だ。今日の世界的な市場救済の方法は、インフレ方式と公共支出方式だが、世界を順調に危機から救い出せるかどうかは、しばらく時間をかけて検証する必要がある。
「人民網日本語版」2009年9月21日
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