隠された貿易保護主義
1929年の金融危機により、資本主義経済は深刻な不況に陥った。主な原因は、各国が自国に有利となり、隣国関係に溝を作る貿易保護主義を取ってきたためである。これを教訓とし、昨年11月に開かれたG20サミットでは、「貿易保護主義反対」が世界経済の後退を阻止する重要な措置の一つとされ、各国は貿易保護に反対することを約束した。
しかし、世界貿易機関(WTO)と経済政策研究センター(CEPR)は先週、昨年11月以降もG20加盟国は引き続き一連の貿易制限措置を取っており、平均して3日に1カ国が約束に背いていると発表。オバマ政権は特別セーフガードを発動させ、中国製タイヤに対し特別関税を上乗せすることを発表しており、米国が中国に対し貿易戦争を仕掛ける可能性も出てきた。
貿易保護主義は現在の世界経済回復の最大の脅威である。米国政府の外交戦略において、米国国内(国会)で叫ばれている貿易保護は自身のニーズを満たすものである。国際金融危機の勃発後、貿易保護は各国政府の自然な反応であるだけでなく、各国間で「集団心理」も沸き起こしている。今回のピッツバーグ金融サミットに参加する多くの国が懲罰対象となるため、少数の参加国だけで合意に達し、貿易保護主義に「世界不均衡の調整」というベールを掛けることが放任された場合、世界経済の真の回復は深刻な打撃を受けることになる。
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