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ポスト危機時代の世界経済 ゼーリック氏講演 |
発信時間: 2009-10-14 | チャイナネット |
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金融危機が世界の経済・金融界にもたらす変動の中で重要なのは、国際的準備通貨に対する影響だ。米ドルは今なお世界で最も主導的な立場にある準備通貨ではあるが、金融危機がこの局面をじわじわと変化させている。 ゼーリック総裁は次のように警告する。米国が米ドルは国際的準備通貨として主導的立場にあるのが当然と考えるなら、それは誤りだ。これから先の世界では準備通貨の選択肢が多様化する。たとえばユーロ、そして現在は国際化の初期段階にある人民元などだ。米ドルの未来は、米国が膨大な債務を適切に処理できるかどうかにかかっている。 ゼーリック総裁の警告には根拠がある。米連邦準備制度理事会(FRB)のベン・バーナンキ議長は議会で証言した際、「ゼーリック氏の見方に賛同する。米国が長期的に財政の安定性を保証できなければ、米ドルは危うい立場に陥ることになる。新たなスーパー通貨が出現し米ドルに取って代われば、米ドルの立場は危険きわまりないものになる。FRBはこうした事態がもたらす可能性のあるインフレ効果について考えておく必要がある」と述べているのだ。 だがゼーリック総裁は取材に応える中で次のように指摘してもいる。中国経済には不確定要因も存在し、中国経済は現在の対外貿易を動力とするモデルから内需を動力とするモデルへと転換しなくてはならないが、これは容易なことではない。また中国が通貨・財政緩和政策の引き際の戦略をどれくらい効果的なものにできるかどうか、これも大きな課題だ。 だが世界全体をみれば、金融危機によって先進的な経済体が大きな打撃を受けたことは確実で、新興経済体の勃興はもはや逆流できない歴史的な流れだ。先に米ペンシルベニア州ピッツバーグで開催された主要20カ国・地域(G20)サミットでも、参加各国は、主要新興経済体を含むG20がこれからの世界経済を決定する主要なプラットフォームとなり、先進国で構成されたG8に取って代わるとの見方で一致した。 しかしながら、古い秩序をうち破るのは容易なことではない。新しい体制を構築するには時間と努力が必要であり、ギャンブルや闘争といった側面も少なからずあるとみられる。ゼーリック総裁は「現在の喫緊の課題は、国際社会が時代の大きな変化を認識し、これに順応し、参与する必要があるということで、流れに逆らって動くことではない。そうしなければ非常に大きな代償を支払い、悲惨な結果を招くことになる」と警告する。 「人民網日本語版」2009年10月14日 |
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