人民元切り上げの予測が高まるなか、中国商務部の姚堅報道官は16日、「貿易黒字=貿易利益」ではないとし、人民元レートの問題は貿易バランスの状況とは無関係との見方を示した。新華社のウェブサイト「新華網」が伝えた。
姚氏によると、中国は大量の労働集約型製品を輸出しているが、単に製造部分であって、販売部分はすべて米国の輸入業者が扱っている。米国はこの段階で多くの利益をあげている。こういった状況のもとで、貿易黒字を人民元切り上げの判断材料とするのは無意味なことだ。実際に人民元レートが貿易黒字に与える影響がごくわずかなことは明白だ。
姚氏はまた、米国の対中輸出規制政策が中米の貿易バランスに影響を与えていると強調し、2001年に中国のハイテク製品の輸入総額の18.3%を占めていた米製品が、2008年には7%にも満たなかった。このことは米国の輸出規制政策が対中輸出を大きく制約していることを説明している。米国は国内産業を保護するために貿易の壁を何重にも設けるのではなく、輸出規制政策をよく検討すべきだ。
今年の秋に行われた広州中国輸出商品交易会から得た情報によると、依然として短期的な注文が中心だったことから、企業側の経済危機に対する慎重な態度が伺える。こうした背景を考えると、世界経済の安定と発展という角度からも、中国の輸出回復促進という角度からも、企業のために見通しの立つ、安定した環境を創造する必要がある。そのため、人民元レート政策の安定を含むマクロ経済政策の安定は保持しなければならない。
姚氏は「今年に入って中国の対米貿易黒字は18%、対世界貿易黒字は27%下がった。貿易のアンバランスな状況は今改善されつつある。これも人民元レートの安定保持のための条件をつくっている」と話す。
危機の間、中国はレートの安定を保持し、世界経済の回復に貢献した。米国は他国の通貨切り上げを要求する一方、米ドルはどんどん下がっている。これは不公平であり、世界経済の回復にも不利になる。
「人民網日本語版」2009年11月17日 |