(3)昨年大幅に減少した輸出の伸びは第1四半期に前年同期比+28.7%とマイナスからプラスに転じ、輸出入のバランスが取れ始めた。輸出入の黒字は昨年同期より479億ドル減の144億9000万ドルだったが、輸入は64.6%と大幅な伸びを見せた。中国経済は世界の経済成長の最大のエンジンとして、その牽引力を強めている。第1四半期に中国の輸入は世界経済史でも稀に見る60数%の伸びを示した。この伸びは他国の製品を吸収する力が大幅に増大していることを意味する。最もその恩恵を受けているのが日本と韓国だ。この2年、日本経済の成長率の70%前後はすべて中国への輸出によるものだ。特に自動車の輸出急増が中国向け自動車部品業界を牽引し、日本経済の成長に非常に重要な役割を果たした。それは韓国も同様だ。韓国はここ数年中国市場の恩恵を最も受けている。長年にわたり対中国輸出は黒字続きだ。このため「中国市場を拠り所にグローバル経済を牽引する時代に入った」という経済学者もいるほどだ。
過去の長い間、世界経済の成長を引っ張る最大のエンジンは米国だった。特に東アジアの成長は主に米国市場を頼みに輸出を牽引することで経済成長してきた。日本をはじめ韓国、シンガポール、台湾、香港はいずれもそうだった。今その風向きが変わった。中国の経済総量は世界の中間に過ぎないが中国の成長率は世界一だ。このため中国の経済成長の牽引作用は毎年20%を上回り、米国を抜いて世界の経済成長を牽引する最大のエンジンとなった。このことは今後中国とのビジネスを希望する国、中国に投資したい企業はいずれも中国の発展のチャンスをつかみ、分かち合うことを意味する。中国が世界の経済成長を牽引し、世界経済回復の最大の力となっている。
(4)通貨供給量(マネー・サプライ)の減少はインフレ予想の変更にプラスとなる。3月末のマネーサプライM2伸び率は前年比-5.2ポイントの+22.5%、マネーサプライM1伸び率は前年比?2.4ポイントの+29.9%と、昨年上半期の異常な貸付増加幅に歯止めがかかった。これは現在の低インフレ状況や経済の安定を継続するのに有利だ。M2とM1は適度な緩和政策によりそれぞれ22%と29%の急速な
伸びを持続しているが、昨年の異常なペースは落ち着きをみせている。これは中国のマクロ調整目標に合致する。今年のいいスタートで、中国の人々は世界金融危機に打ち勝つ自信をつけた。今年のマクロ調整目標の実現は経済成長のスピードでなく、経済発展方式の転換により実質的な一歩を踏み出せるかにかかっている。つまるところ、中国は構造調整の進展を図り、経済成長の質的効果を上げる必要がある。
今年年初に中央党校が開講した省部級主要責任者対象の「経済発展方式転換に関する勉強会」では、中央指導者が打ち出した経済発展方式の転換は一時も余談を許さない戦略的任務だと指摘された。今年は「成長確保」一辺倒ではなく、経済発展方式の転換に集中的に力を注いでいくことが求められる。「第12次5カ年計画(2011-2015)」の発展に確かな基礎を打ち立て、経済発展方式の転換に進展があってこそ経済発展の大きな潜在力が引き出され、2020年の全面的な小康社会(ややゆとりある社会)実現に向け力強いバックアップを提供することになる。
「人民網日本語版」2010年4月22日