▽米国の思惑通り
それでは米国が投票権を譲歩した真意は一体何か。孫副院長の分析によると、これは実際には米国が中国の資金を借りて、自国の覇権的地位を固めようとすることだという。われわれはこれまで世銀とIMFを「先進国クラブ」とみなしてきた。それがなぜ中国という発展途上国をクラブのメンバーに引き入れようとしているのか。原因は中国には豊富な資金があるが、多くの先進国の手元には資金がないからだ。当面の世界情勢をながめると、最近ではタイやギリシャなどの欧州諸国が深刻な政治的・経済的危機に陥っている。米国は覇権的地位にあり、納税者の圧力を受けて、資金は出せないながら、製品輸出先である盟友国の混乱を収拾しようとしている。欧州が大きな混乱に陥れば、米国も枕を高くして寝られないことは、米国自身よくわかっているのだ。
このような時に中国などの新興国の手中に資金があるため、米国は資金の移転戦略を思いついた。陰謀論者によれば、米国が「困った友達」を助けるという大きな方向性を確定し、中国の力を借りようとしている。中国に3番目の出資国の地位を与えるのは、米国にとって一石二鳥だ。一つには、中国が多額の資金を拠出して発展途上国を直接支援し、国際的な影響力を拡大するのを抑制することができる。もう一つは、第三者(世銀とIMF)の助けを借りて支援を行い、世界のリーダーとしての米国の責任感を示すことができる。多くの国にとって、米国はこれらの国際金融機関の真の代表だからだ。中国にとっていえば、中国は一人あたり平均所得が世界ランキング103位の豊かでない国だ。中国が世銀に贈った資金はほかからは見えないので、どのように用いられたかをしっかりと見守る必要がある。そうでなければ、出した資金が米国の花を飾ることになるという疑いを振り払うことができない。
「人民網日本語版」2010年4月28日