ホンダのスト、中国労使闘争の新起点

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発信時間: 2010-05-31 11:23:27 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

ストライキが起こったら雇用側のコストが急騰し、「世界の工場」としての中国の低コスト優位が削がれるのではないかと考える人がいる。今回の仏山「ホンダストライキ」を例とすれば、雇用側に一日あたり2億元超にのぼる損失が発生している。万が一雇用側が負担しきれなくなって撤退や工場閉鎖などの決断をすれば、得する者のいないゼロサムゲームになりはしないか、という懸念である。

しかしそれは杞憂に過ぎない。個人であるにしても集団であるにしても、労働者は人として基本的な理性を持ち合わせているのだから、利益訴求の内容が理に適ったものであって初めて、多くの同僚の支持と社会の同情を得られる。その要求が現実的なものであって初めて、雇用側から回答が得られ、合意に達することができるのである。ストライキを起こす動機そのものが利益追求なのだから、工場閉鎖に追い込むまで雇用側を苦しめることは考えられていないだろう。そうなれば労働者自身もすべてを失うことになるのだから。

経済的、社会的側面から述べると、労働者の収入が増えて生活が改善されれば、本人とその家族は研修や教育をより多く受ける機会に恵まれるはずであり、労働力の質向上にも繋がり、経済成長などあらゆる社会的側面で有利に働く。また労使争議を通じて人件費が上昇すれば、安価な労働力の搾取に支えられた工場を抜本的に改革せざるを得なくなり、技術革新と産業の進歩を促すことになる。

ハーバード大学名誉教授のマイケル・ポーターは自らの論説の中で、1970年代日本で人件費が高騰したとき産業競争力は崩壊するどころか返って長足の進歩を遂げたことを挙げ、それは給与コストの圧力によって日本企業が生産効率と資源節約の面で新たな活路を見出さざるを得なくなったからだと指摘している。それとは逆に、発展途上国では人件費が余りに安いがために、大量の労働力を使った方が新技術を採用するよりも遥かにコスト削減となると経営者が認識し、技術革新をなす動機が失われている場合が多いということである。

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