海洋紛争の過大報道の背景に政治的思惑
日本が『海底戦略』を出したのとほぼ同時に、日本政府とメディアは、4月上旬に中国海軍が行った日本近海での軍事演習、冒頭で述べた中国の海洋監視船と日本の測量船の「対峙」など、中日双方の海上での「接触」を連日報じた。
これはまさに絶妙なタイミングといえる。実際、中国海軍は遠洋訓練の際、海上自衛隊の護衛艦や航空機に近距離から監視されることがよくあり、双方の間のにらみ合いは珍しいことではなかった。また、中国側の関連船舶が中国の領海内で正常な巡航活動を行うことや、日本側の船舶と長時間対峙するのも今回が初めてではない。また中国側の関連船舶は2008年12月、釣魚島の海域で巡航活動を行っている。比較してみると、両国の船舶が海上で接触した今回のことも決して特別なことではない。
しかしこれが発生した後、日本の防衛省と海上保安庁は積極的に情報を発表し、写真を公開するなどし、それに続いてメディアも大々的にこれを報じた。さらに外務省は何度も抗議し、事態を深刻化させており、日本側がとった行動の動機に注目する必要がある。