中国人民銀行(中央銀行)がこのほど発表したデータによると、5月現在、中国の外国為替資金(外貨買取による人民元投入金)残高は20兆4769億3400万元(約273兆円)に達した。5月の増加額は1315億6400万元(約1兆7600円)で、4月の増加額約2800億元(約3兆7400億円)より50%減少した。国際金融報が伝えた。
外国為替資金残高とは、銀行が購入した外貨資金に応じて市場に投入する本国通貨を指す。外国為替資金残高の変化をもたらす主な要因としては、貿易黒字や外資利用、国際マネーフローなどがある。ここ数年、外国為替資金残高の増加額が伸び続けており、今年3-4月の増加額は2700億元(約3兆6000億円)に達した。
5月の増加額減少は、中央銀行のベース・マネーの減少とインフレの緩和に一定の作用をもたらす。だが5月の増加量が前月より50%も減少するというのは、最近では珍しい。
5月の増加額が減少したことについてアナリストは、同月のホットマネー流出と一定の関わりがある、との見方を示している。5月の貿易と投資に関するデータを計算すると、同月の中国の貿易黒字は195億ドル(約1兆7700億円)、外資利用額(実行ベース)は78億ドル(約7000億円)で合計1850億元(約2兆4700億円)となり、5月の外国為替資金残高の増加額を上回っている。外国為替資金残高が貿易黒字と外資利用額の合計を下回ったのは、最近では初めて。招商証券の研究報告書は「欧州の財政危機の影響で5月、一部の資金が中国から流出した」と指摘している。
「人民網日本語版」2010年6月22日