世界的な金融危機により、一時中国東部の労働者数は減ったものの、この1年、人口流動の方向性と勢いに実質的な変化はなかった。これは中国の労働コストがまだ国際競争力を失っていないということだ。中国科学院持続可能な発展戦略研究チームのチームリーダー、牛文元首席科学家が、中国の経済発展パターンの転換と人口流動状況を分析して出した結論だ。中国新聞網が伝えた。
このほど開かれた「人口移動と都市化に関する国際シンポジウム」で牛氏は、米国の労働コストは3.1、日本は3.0、香港は2.9、南アフリカは2.6、韓国は2.2、インドは1.3である一方、中国は1.0に過ぎないと報告。「中国の土地は広大で、第一次産業に従事する人口の比率も高く、大きな産業転換の可能性を秘めている。東部の発達した地域に労働力不足の兆候が見られるが、中国にはあと10年は「ルイスのターニングポイント」(労働力が過剰から不足へと移行するターニングポイント)は訪れない。まだまだ人口ボーナスが期待できる」と語った。
報告で提示されたデータによると、中国農村部の労働力2億1000万人のうち約9000万人がすでに都市部で生活しており、流動人口のうち65%が東部、30%が中部、5%が西部の都市を選んでいる。全国の農民の収入の80%はすでに都市部で稼いだ収入という。こういった出稼ぎによる農村や農業、家庭への恩恵は、収入格差を縮め、農民が裕福に暮らす重要な要因になっている。
収入分配の変化に伴い、労働者の報酬は明らかに増加した。このため、社会の扶養比率を従来の単純な人口比率に基づいた計算から徐々に自然人口や収入に基づいた扶養人口で計算できるようになり、この方法で計算すると中国の最初の人口ボーナスはまだ続くものと予想される。
「人民網日本語版」2010年6月28日