輸出産業が危機に直面するのとは対照的に、日本の旅行産業は円上昇に喜びを隠せないでいる。大手旅行会社のJTBがこのほど発表した夏休みの旅行の動向調査によると、経済状況の好転と円上昇の恩恵を受けて、夏休みに海外旅行する日本人の数は前年比8.4%増加ののべ224万人に達し、2年連続で増加し、金融危機発生前の水準を回復することが期待されるという。
日本経済団体連合会がこのほど発表した大企業の夏のボーナスに関する統計結果によると、従業員への平均ボーナス支給額は約80万円(約6万1千元に相当)に上り、2年ぶりの増加となった。ある保険会社の調査によれば、ボーナスで旅行や豪華な食事などのぜいたくをしたいと考える世帯は、昨年の14.2%から今年は28.4%に増加しており、円上昇が日本の家庭に福音をもたらしていることは間違いない。
だが外国人観光客の多くが訪れるホテル、家電量販店、百貨店、観光地などにとっては、円の大幅上昇のニュースは歓迎すべからざるものだ。今月1日から日本政府が中国人観光客への査証(ビザ)発給要件を緩和したことを受けて、より大きな売上を期待していた百貨店や家電量販店の多くが、円上昇によるマイナス影響を懸念し始めている。ある百貨店の責任者は「中国人観光客が大幅に増加する見込みという好材料も、円上昇というマイナス材料でかなり帳消しになる」と密かに苦悩をもらす。
「人民網日本語版」2010年7月6日