「車の渋滞がひどくて動けず、飢え死にした」というのは冗談だが、ここには人々の苦い実感が込められている。ある最新の研究成果によると、北京市とメキシコのメキシコシティは交通渋滞が世界で最も深刻な都市で、市民の健康が損なわれているだけでなく、生産力や社会生活にも影響が出ているという。交通苦痛指数ランキングでは両都市は並んで世界1位だ。「国際金融報」が伝えた。
同ランキングはIBMが世界20都市のドライバー8129人を対象に行った調査に基づくもの。100ポイント満点に設定された交通苦痛指数で、北京とメキシコはそれぞれ99ポイントを獲得して1位だった。3位以下は南アフリカ共和国・ヨハネスブルク、ロシアのモスクワ、インドのニューデリーが続いた。米国の都市ではロサンゼルスが最も交通事情の悪い都市とされた。ランキング最下位はスウェーデンのストックホルムでわずか15ポイントだった。
同ランキングでは、通勤時間、交通のペース、車両通行量が人々に与える圧力、乗客のイライラ度や仕事への影響などが考慮点とされた。回答者の65%が「毎日車で通勤すると渋滞に遭い、緊張したりイライラしたりするほか、睡眠時間が短くなり、家族と一緒にいる時間も短くなる」と答えた。
渋滞時間を算出すると、モスクワは世界平均の1時間を大きく上回る2時間半で他都市を圧倒する。モスクワ州のボリス・グロモフ知事が出した「処方箋」は、ヘリコプターを購入することだった。知事はロシア・ノーボスチ通信社の取材に対し「私はヘリコプターで出かけることにしている。あなたも車でなく、ヘリコプターを買うべきだ」と答えている。
IBMは交通問題の原因をインフラ設備の不十分さにあるとしている。IBMのグローバルインテリジェント交通工業部門のナヴィーン・ランバ主管によると、交通問題の伝統的な解決方法、たとえばより多くの道路の建設などでは、もはや都市の急速な発展に伴う交通問題を解決することはできない。
アルゼンチンのブエノスアイレスやオーストラリアのメルボルン、ストックホルムなどでは、回答者の4分の1以上が「交通が渋滞していると感じたことがない」と答えたことは注目に値する。
「人民網日本語版」2010年7月6日