中国人民銀行(中央銀行)がこの度発布した上半期のデータによると、今年に入ってから中国のマネーサプライの伸びが減速し始めており、信用貸付の伸び率は月毎に下降している様子が顕著に表れている。
データによると、6月末、中国の広義マネーサプライ(M2:現金通貨+預金通貨+準通貨)は前年同期比18.5%増で、伸び率は前月比2.5ポイント減、前年末比9.2ポイント減となった。狭義マネーサプライ(M1:現金通貨+預金通貨)は、前年同期比24.6%増で、伸び率は前月比5.3ポイント減、前年末比7.8ポイント減となった。
データによると、上半期の新規人民元貸付額は4億6,300万元で、その増加額は前年上半期よりも2億7,400万元減少している。
中央財経大学銀行業研究センターの郭田勇主任によると「上半期の金融データから分かるように、信用貸付の伸びは、国家の要求に合致しつつある。M2は年初予定していた目標の18%増に近づいてきており、昨年の信用貸付の増加に対しては、今年も比率に基づく合理的な調整が行われている」とのことである。
経済を運営する先行指標である信用貸付の伸びは現在減速しており、数カ月前の経済過熱への懸念もある程度は収まってきている。だが、同時に、経済成長の伸び率が下降するかもしれないという新たな兆しも出てきている。
清華大学の中国・世界研究センターの袁鋼明研究員は「現在の経済情勢は変化が激しく、予測が難しい。この数カ月の工業増加値(日本の売上高総利益に類似する指標)、信用貸付、投資などの前月比のデータから分かるように、第1四半期に懸念されていた経済過熱がなくなり、今後、経済成長の伸び率が、ある程度減速する」と述べている。
今年に入って、M1の伸び率の下降が顕著である。また数カ月の期間に、M1伸び率の前年同期比が30%以上から現在の24%に下降している。専門家によると、M1の伸びが急に減速しているのは、企業経営の活力が弱まり、萎縮していることを表している。
交通銀行金融研究センターの鄂永健研究員は「6月、M2とM1の差は6.1%で、前月よりさらに下降している。これは経済の勢いが少し衰えていることを表している」と述べている。
先週、関連機関が公布した6月購買担当者景気指数(PMI)によると、6月のPMIは5月の53.9ポイントより1.8ポイント低い52.1ポイントにまで下がっており、製造業の伸び減速への懸念が高まっている。過去2カ月、業界によっては、信用貸付の需要が萎縮するという新たな動向も見られている。
だが、専門家によると、経済成長は常にある程度は変動するものであり、国家が新たな情勢に基づき機敏に、方向性を定めてマクロコントロールすれば金融危機の初期のような大幅な下降は出現しないはずである、とされている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2010年7月13日