中国の自動車国家研究機関である中国自動車技術研究センター(以下「中自研」と略称する)は今年5月から、同機関の統計方法による自動車生産・売上台数データを公開している。中自研データが公開されるようになって3カ月になるが、中国自動車工業協会によるデータと異なっている状況が、次第に関心を集めるようになってきている。この2つの統計データは、生産台数に関しては大きな隔たりは無いが、売上台数の違いが非常に明白になっている。
今年4~6月度のデータを例に挙げてみよう。中自研が公開した自動車売上台数は、4月138万8,700台、5月119万4,700台、6月113万2,000台だが、中国自動車工業協会のデータでは順に、155万5,200台、143万8,400台、141万2,100台となっている。つまり、直近3カ月の売上台数の2データ間の差は、順に16万6,500台、24万3,700台、28万100台となり、月ごとにその差が広がっている。1~6月度の売上台数累計は中自研データが718万5,300台、中国自動車工業協会データが901万6,100台となっている。国内有数の権威のある国家研究機関が公開した上半期売上台数の差は183万800台と、その隔たりはあまりにも大きい。
同じ自動車市場の売上台数に対する調査データがこれほど異なれば、疑問視されるのが必然である。生産・売上台数のデータに隔たりがあるのは、実のところ、中自研と中国自動車工業協会が異なる方法でデータ収集や在庫数の統計をしていることが主な原因とされる。中自研が統計した売上台数は、実際の売上状況を反映する登録台数(ナンバープレート取得台数)に基づいており、統計はVINコード(車両識別番号)および生産合格証が一致する数を参照にしている。中国自動車工業協会の売上台数データは主に自動車メーカからの報告データに基づいている。統計方法が異なっているため、売上台数のデータ結果が大きく隔たるようになっている。