▽中国は独自の道を歩むべき
北京市などの大・中都市では、交通渋滞の解決が頭の痛い問題となっており、隣国・日本の経験が参考になる。東京では自動車保有台数が800万台を超えるが、交通渋滞はほとんどみられない。葛教授によると、これは東京の公共交通網の発達や市街地における極めて高額の自動車保有コストと大いに関係があるという。
交通渋滞の解決に向けて、中国の多くの都市で研究や努力が重ねられている。北京では自動車ナンバーの偶数・奇数規制方式が採用され、吉林省長春市では車両ナンバーの末尾数による規制がこのほど実施された。各都市の努力にもかかわらず、交通環境はまだ改善されたとは言い難い。
また不動産業の急速な発展により引き起こされた駐車場難の問題も軽視できない。
これについて中国第一汽車集団の王洪軍シニアエンジニアは、多くの大・中都市では路上駐車が目立つ。自動車産業の発展ペースは都市交通設備の発展ペースと相互に補完しあうべきで、自動車が増えれば道路の整備も必要になると話す。
ある業界関係者によると、09年以来、政府は税収調整措置や一連の補助金措置を通じて、自動車の生産・販売台数を一挙に1千万台に引き上げたが、中国は自動車社会の入り口を入ったばかりで、成熟した自動車社会にはまだほど遠い。
業界関係者たちによると、自動車社会を構築する場合、中国は国の実情を踏まえて独自の道を歩むべきだという。葛教授は現在の中国にみられる自動車生産・販売台数の増加や都市の受け入れ能力の不足といった問題に対して、次のように話す。自動車販売台数を増やすことが根本的な解決策なのではなく、公共交通設備の発展に力を入れ、各都市が合理的な交通構造を設計して市民の足を確保することが必要だ。そうしてこそ世界と肩を並べることができ、自動車産業の発展と都市インフラ設備の建設がニワトリと卵のような関係になり、両者が相互に促進しあって、良好な発展をもたらすことが可能になる。
「人民網日本語版」2010年7月20日