「好機」を断ることで最高の取り引きを呼び寄せる
金融危機が過ぎ去って一年になるが、これまでなした取り引きに関する決断で最も特筆すべきは、いくつかの取り引きをしないことを最終的に選択したことだったかもしれない、とバフェットは1929年の大恐慌以来の経済危機を顧みながら語る。
先日『ウォールストリートジャーナル』が行ったインタビューの中で、バフェットは金融危機の間に自身がした取り引き内容をかなり詳細に明かしている。
ベア・スターンズやリーマン・ブラザーズ、フレディ・マック、ワコビア銀行、AIG、果てはモルガン・スタンレーに至るまで、持ち寄られる機会をバフェットはことごとく断った。断ったことで先月のあいだに彼は資金を蓄え、それを使って彼として最大規模の取り引きを行った。263億ドルをはたいてbnsf(営業収入が米国最大の鉄道企業)を買収したのである。
財務不安があることでリーマンを断った
2008年3月28日、バフェットはリーマン・ブラザーズのリチャード・S・ファルド・ジュニア会長から電話を受けた。バフェットがリーマンに約40億ドルの投資をして損失を食い止めてくれる意志があるかの確認の電話だった。
その晩、バフェットはリーマン・ブラザーズの年度財務報告を仔細に閲覧した。そして不安を感じさせる箇所のページ数をその表紙に書き込んでいった。報告書を読み終えたとき表紙はページ数の文字で一杯になっていたという。そういったわけでバフェットは「手助け」をしなかった。その六カ月後、リーマンは破産保護申請に至った。