中国人民銀行(中央銀行)が設定する人民元の中間値(基準値)は13日、人民元改革後の最高値となる1ドル=6.7509を記録した。業界関係者によると、人民元相場が上昇する中、金融、不動産、航空、製紙の4業界が中・長期的に恩恵を受けるとみられる。中国国営・新華社通信のウェブサイト「新華網」が伝えた。
東海証券の戦略アナリスト、董高峰氏は、人民元値上がりが人民元建て資産や外貨建て負債の多い業界にとってプラス要因となる、と指摘する。近いうちは上昇ペースが緩やかであるため、短期的には関連業界に刺激を与え、中・長期的には後押しやプラス要因として働くという。うち人民元業務と人民元資産を主体とする金融業が元上昇の恩恵を受けるとみられる。
中国の大手証券会社、広発証券は、通貨の値上がりが国内資産価格の上昇を招き、不動産業にプラス要因として働く、と指摘。ただ中国は現在も不動産価格の抑制策を継続しているため、人民元の小幅上昇による不動産業への推進力は減少するとみられる。短期的には明らかな影響は見られないが、長期的には依然としてプラス要因として働くという。
外貨建て負債の多い典型的な業界として航空業が挙げられる。元上昇によって航空会社は関連の外為収益を一度に取得できるほか、航空機の燃料輸入とリースのコストを削減することができる。このほか、製紙業ではパルプの価格が製造コストの65-75 %を占めるが、元上昇はパルプと古紙の輸入コストを下げると見込まれる。
「人民網日本語版」2010年9月16日