最近の円高と円の国際化が進まない背景

最近の円高と円の国際化が進まない背景。

タグ: 円高

発信時間: 2010-09-19 16:40:52 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

もう1つは円高が日本円の国際化を促すことはないということ。実際のところ、今回の円高を通して、いまの国際通貨体制には国際通貨(ハードカレンシー)が存在しないことが浮き彫りとなった。歴史的に見ると、大規模な経済・金融危機は往々にして新たな国際通貨の誕生を促した。だが、今回の円高を円が国際通貨になる好機とする見方はほとんどない。70年代から始まった円の国際化の歴史は極めて限られている。総じて言えば、円の国際化が進まない背景には以下の4つの要因があると考えられる。

第一に、国際舞台における日本の発言権が十分ではない。経済関係から見れば、日本企業は80年代から、米国市場に依存し始め、対米輸出が輸出額全体に占める割合は現在、17%に達している。米国経済が一定の段階まで衰退すれば、日本企業の生存と発展にも影響を及ぼすことになる。経済的に米国から自立できず、政治的にも特殊な関係にあるため、日本政府は円の国際化という米国の利益に関わる問題について、国際協調政策を取り、ひいては米国の覇権に盲目的に迎合し、西側諸国の要求をのむことしかできないでいる。

第二に、円国際化の基盤である東アジアが円本位制ではなく、一貫して米ドル本位制であること。1990年まで、米国は東アジアとって最終製品の重要な市場だった。1991年に入り、東アジア地域内の最終製品市場に抜かれたものの、米国は依然として最大の地域外の最終製品市場であり続けた。これとは対照的に、日本は最終製品市場のシェアが低く、10%を超えたことがない。そのため、現在、日本と東アジア各国・地域の貿易比率が日本の国際貿易額の50%を占めるが、輸出貿易における円建てと米ドル建ての比率はそれぞれ約50%。輸入貿易における円建て比率は30%近くに達しているが、米ドル建ての70%とは大きな開きがある。

第三に、日本の金融体制改革が不徹底だった。80年代中ごろ、日本は金融の自由化を実施し、1986年にオフショア市場を確立。その後円資金は香港に大量に流れ込んだが、巨額の円資金がその他のアジア各国に流れ込むことも、香港にとどまり資本取引に使用されることもなく、ほとんどは日本の銀行の海外支店を通じて日本に戻ったか、あるいは日本企業に直接融資として用いられた。

さらに突き詰めれば、日本国内の金融改革が不徹底だったことにも原因がある。国内金融市場にさまざまな金融規制があり、国内貸し付けに対する制約が多かった。オフショア市場の確立はむしろ、市場を通じて香港の海外支店に国内資金を送金し、それを国内支店に再び戻し、国内の非銀行顧客の日本円に対する需要を満足させる環境をつくった。これにより、海外に迂回する日本円の資金フローが形成され、海外での円使用を大きく制約する結果となった。

     1   2   3    


「中国網日本語版(チャイナネット)」の記事の無断転用を禁じます。問い合わせはzy@china.org.cnまで

コメント

コメント数:0最新コメント

コメントはまだありません。