通貨戦争勃発の恐れ
専門家は、各国の為替レート政策はその国の経済発展や競争力に大きな影響を与えると同時に、知らないうちに国家間の財産の移転も左右すると指摘する。アジア諸国の多くはこれまでの数十年間、低い為替レートによって輸出を促進し、経済の近代化と大量の財産の蓄積を実現してきた。もし各国が単独で為替介入を行えば、災いの押し付け合いになり、総倒れするだろう。1930年代の世界恐慌の際は、各国が自国通貨の切り下げによって輸出を促進しようとしたため、世界経済の回復を大きく損ねた。当時の通貨戦争が再び繰り返されるのではないかと懸念する声もある。実際のところ、規模は当時ほど大きくないものの、各国の市場介入にともなって、為替市場では硝煙の上がらない戦争が始まっている。11月のG20サミットではそれが表舞台に現れるだろう。
また、大幅な円高の原因は日本経済の構造にあるため、解決は容易ではないとみる専門家も多い。08年のリーマンショックによって引き起こされた大幅な円高は日本経済が強かったからではなく、米国や欧州経済の疲弊によるものであるからだ。米国経済が好転し、米ドルが強くなれば、円高も収束する。しかもドル・円市場での1日当たりの取引高は5680億ドルに達し、世界最大の為替市場の一つであることを考えれば、日本が単独介入を行っても成功することは難しい。外国為替市場への措置は各国の協力が必要なのである。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年9月21日