米通商代表部(USTR)のロン・カーク代表はこのほど、中国が米製電磁鋼板(シリコン・スチール)に対する反ダンピング(不当廉売)関税および相殺関税措置と、中国の電子決済市場への米カード会社の参入妨害の2件で、中国を世界貿易機関(WTO)に提訴したと発表した。「京華時報」が伝えた。
カーク氏は、中国人民銀行は01年以降、規制措置を多く打ち出し、人民元によるカード決済を中国銀聯に独占させ、外国のカード会社を差別してきたと主張。これは金融サービス市場を開放するという中国の公約に反しているとし、数カ月前の中国銀聯とVisaの対立が思い起こされると語った。
米国が中国の電子決済市場への米カード会社の参入妨害に関してWTOに提訴したことに対し、中国銀聯は19日、USTRの行動についてのコメントを拒否した。一方、Visa側は、「企業が口を出すことではない。これは政府と政府の交渉だ」と述べた。
中央財経大学銀行業研究センターの郭田勇主任は、「Visaは、中国のカード決済市場が開放的でないとして強い態度に出ている。国外のカードを国内で使用する際、中国銀聯のシステムを通過する必要性から、Visa側は利益が少ない。Visaからすれば、もともと海外市場で利益を見込んでいたのに、中国銀聯との競争で、今では海外市場も脅かされつつある。中国国内に参入させないなら、銀聯の国外進出も阻んでやるといったところでしょう。双方の争いは避けられない」と説明する。郭氏はまた、Visaの本当の意図は、中国のカード会社が海外で積極的に拡大し、彼らにも利益が回ってくることを望んでいるのだという。